研修会のリモート対局のために「もう業者みたいなものですよ」
石田 研修会のリモート対局は、阿部さんがほぼ全部の設定を行ったんだよね。リモートに使うパソコンも、各地の研修会に送る前に全部使えるようにしてくれました。
阿部 全部で20台くらいですかね。予算の問題もあるから、状態の良い中古ノートパソコンを目利きして買って、メモリーとSSDの増設、BIOS更新などの動作確認、セキュリティーも自力で設定しました。関連するアカウントなどを私が100近く管理しているので、もう業者みたいなものですよ(笑)。パソコンは九州には1台、それ以外には数台送りました。
石田 地方の研修会幹事は担当が月1回ですが、阿部さんは全部の例会に行っていますよね。
阿部 まずは言い出した人がやらないといけませんから。おかげで、それほど大きなトラブルはありません。リモートに関して、北海道では野月先生(浩貴八段)にも手伝ってもらいました。各地区に1人はそっち方面に詳しい人がいないときついですね。関西は西田さん(拓也五段)、東海は澤田さん(真吾七段)と幹事補佐の竹内さん(貴浩指導棋士四段)。こういう部分では若い人のほうが頼もしいです。
ワンパクで盤の前に座らせるのに一苦労
――ものすごいハードワークになっていますが、研修会幹事の本来の仕事はどのようなものでしょうか。例えば会員同士の手合いをつける作業などは。
石田 手合いをつけるのは副幹事と幹事補佐が多いですね。幹事のメインは1日4局ある、会員への指導対局です。ほかの空き時間は会員同士の対局を見て、感想戦で指導などをします。
長谷部 私はまだ幹事歴が浅いので、何がわかってないのかがまだわかっていないという状況です。関東は人数が多いので、ワンパクな子を注意する機会が多いです。あとは実際に対局を行わせるのが大変で、手合いはついても、その会員同士を盤の前に座らせるのが一苦労です。関東は一度の例会に100人ほど会員が来ますから、下手をすると将棋会館中を探す羽目になります。手合いは幹事補佐の藤田さん(一樹指導棋士三段)がつけていますけど、神業ですよね。
――ワンパクな子どもも、そのうちに大人しくなるものですか。
石田 高学年になれば大人になるというか、落ち着いてくる面はありますね。
阿部 東北と東海の例会は、椅子対局なんですよね(他の研修会は畳に正座)。椅子だから、低学年の子どもは物理的に地に足がつかないんです。ずっとそれだとキツいので、足置き台を設置するなど工夫が必要です。
写真=細田忠/文藝春秋
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