なお、この歴史紹介は日光金谷ホテル公式サイトを参考にしたけれど、宿泊客が希望すれば、もっと詳しい約40分の館内ガイドツアーに参加できる。建物の構造、各所に飾られる彫刻や調度品、賓客のエピソードもたっぷり聴ける。とくに建築に興味がある人にオススメしたい。柱がない大広間の構造の秘密、開館時は2階建だったけど、後に地下を掘り下げて1階を作った話など、驚くことばかり。
案内スタッフは日によって異なるそうだ。報道取材会では金谷ホテルの生き字引、歴史コンシェルジュの小杉和雄氏が担当だった。小杉氏は「全部キッチリ説明すると2時間かかりますが、今日は40分の短縮コースで……」と前置きして案内してくれた。2時間コースがとても気になったけれど、あとで金谷ホテルに確認したら、これは小杉氏の定番のジョーク。ふだんから約40分とのことだ(笑)。お話は面白く、もっともっと聞いていたい。そのために1泊延長してもいいくらいだ。
7月15日(土)に別館をリニューアル、その日は……
日光金谷ホテルは今年、創業150年を迎える。その記念事業として別館を「別館ROYAL HOUSE」としてリニューアルするほか、記念ロゴ入りグッズの販売や特別なランチメニューを提供する。
「金谷ホテル150周年記念ランチ」はホテル伝統のレシピを再現した。金谷ホテル開業の3年後に作られたメニューだ。
オードブルのキャビアは自家製だ。茨城県筑波の伏流水で養殖されたチョウザメを生のまま仕入れて塩漬けした。塩分濃度が低いため繊細な味になったという。コンソメスープは明治29年当時からあった「コンソメロワイヤル」だ。ロワイヤルは玉子をコンソメでまとめた具材。玉子豆腐のような味わいだ。金谷ホテルの水はすべて日光の天然水で、コンソメスープの澄み切った味わいの源になっている。
デザートのクレーム・ブリュレは明治時代のレシピを再現
魚料理は栃木県の水産試験場で開発されたブランド魚、プレミアムヤシオマスを軽く燻している。日光連山から湧き出る「弘法水」を使う清滝養鱒場から仕入れている。味付けは醤油、酒、砂糖、少しバターを加えて、日本人にも外国人にも喜ばれているという。
肉料理は「とちぎ霧降高原牛」のフィレ肉のステーキをペリグーソースでいただく。ペリグーソースは黒トリュフのソース。明治29年のレシピは黒トリュフが貴重だったため、マッシュルームで代用した時期があるという。そんな逸話を再現するために、今回はわざとマッシュルームを加えている。