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玉川 賞と、人のつてですね。昔は日活ロマンポルノの脚本家さんなどに声をかけていたそうです。近年は、「ノクターンノベルズ」や「ムーンライトノベルズ」などアダルト系の小説投稿サイトをよくチェックしています。

 投稿サイトのユーザーのあいだでは異世界転生などファンタジー系の設定が人気で、現代ものはあまりポイントが伸びなかったりするんですが、むしろそういう現実と地続きの作品こそフランス書院にはマッチするので、ランキング入りしていない作品も読んでいます。若手作家のエースである懺悔先生は、ネット出身の作家さんです。

時代とともに進化し続けるフランス書院 ©杉山秀樹/文藝春秋

――若手のエース! どんな作品を書いていらっしゃるんですか?

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玉川 自分はフランス書院で働いて30年ですが、『トモハメ』をネットで初めて読んだときは「こんな官能小説があるのか!」と衝撃を受けました。寝取られだけど寝取られじゃない、簡単にカテゴリ分けできない内容で……。

「次の世代の作家さんの時代が始まるんだ」と素直に感じました。そして懺悔先生は、母や姉などの禁断の関係、いわゆる「ガチ相姦」を復活させた作家さんでもあります。ガチ相姦は80年代に流行したものの廃れていったジャンルなんですが、懺悔先生のおかげで人気が再び高まっています。

新人作家によく伝える言葉の真意

――官能小説では、「人妻」や「隣人」、「義母」など、人気の要素がある程度決まっていますよね。読者のニーズが高いとはいえ、作家さんはマンネリやネタ切れで苦しまないのでしょうか?

玉川 結城彩雨先生という大物ベテラン作家さんがいらっしゃいます。結城先生は「初美」というヒロインの名前を特に気に入っていて、作品ごとに設定は変わっていても、何度も「初美」が登場します。その理由はわかりませんが、「先生にとって、この人はどれだけ魅力的な女性なんだろう」と感じます。

 質問の答えになっているかはわかりませんが、クリエイターさんたちは、多数の作品を発表しながらも、ひとつの何かをひたすら追い続けているのでしょう。そのような作家さんは成功する印象です。

――ということは、官能小説の世界では文章が上手ければ成功するとは限らない?