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 政府は、年金を受け取っている人に書留郵便などで、年金口座をマイナンバーカードへ紐づけることへの同意を求めることになっています。その同意書は、一定期間内に「同意しない」と回答して送り返さなければ、同意したとみなされ、本人に確認なく口座に紐づけられます。年金について書いてある書類を、面倒なのであとでゆっくり読もうなどと放っておくと、自分が気づかないうちに紐づけられているということです。

 政府は、「これによって、デジタルに不慣れな人でも、簡単に年金受け取り口座をマイナンバーカードに紐づけることが可能」と言いますが、これに対して日弁連は、「公金受取口座とマイナンバー(カード)の紐づけ登録には、名義人の積極的な同意を求めるべきであり、名義人が知らないうちに紐づけされてしまうような方法をとるべきではない」と抗議の声明を出しました。

荻原博子さん ©文藝春秋

積極的な調査で信頼感を

 マイナンバーカードは、最大2万円のポイントのバラマキで、多くの人がカードを取得しました。デジタル庁の「政策データダッシュボード」によれば、7月2日現在で、カードを持っている人は9737万人ですが、ここに公金受け取り口座を登録している人は5644万人と、カードを持っている人の6割です。

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 公金受け取り口座は、カードをつくる時に簡単に紐づけでき、しかもキャンペーン中なら7500ポイントが付くにもかかわらず、4割の人はわざとつけなかったのですから、かなりの人がカードに年金口座を紐づけることに危惧を抱いているということでしょう。

 それなのに、拒否しなければカードに紐づけられていくというなら、せめて日本年金機構は、全件調査を拒否せず、積極的に調査して信頼感を取り戻すべきでしょう。

INFORMATION

 荻原博子さんの新刊『マイナ保険証の罠』(文春新書)が8月18日に発売されます。

 7000件以上の誤登録、医療現場でのシステム障害など、トラブル続きの「マイナ保険証」。さらに2024年秋には、現行の健康保険証は使えなくなる――。政府を挙げて暴走するDX政策の罠を、利用者の目線でわかりやすく解き明かす。

マイナ保険証の罠 (文春新書)

荻原 博子

文藝春秋

2023年8月18日 発売