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毎年数十人が「殺人スズメバチ」の犠牲に…「刺される人の共通点」と「刺されない絶対ルール」を教えます

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル, ヘルス

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スズメバチの生活史は実は4月のゴールデンウィークの頃から始まっていたのですが、巣の成長に伴って、その攻撃性が大きく変わるという特徴があり、そのターニングポイントが働き蜂の数が急増する7月にあるのです。

8月以降スズメバチの巣はどうなるのか

これから8月にかけて巣は日に日に大きくなっていきます。キイロスズメバチでは、女王蜂が4月に造った営巣場所が手狭になると家の軒下、ビルの窓枠、橋の下などに引っ越しをします。広い開放空間に造られる引っ越し巣は、瞬く間に一抱えもあるような巨大な巣へと発展していきます(写真10)。

9月に至れば、働き蜂の数が1000頭を超えることもあります。そして、巣内では新女王蜂(来年女王蜂となる候補)と他の巣の新女王蜂と交尾するオスという生殖を役割とするハチの養育が開始されます。多産のキイロスズメバチでは、一つの巨大な巣から生産される新女王蜂とオスの数は、それぞれ数百頭に及ぶとされています。

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これらの次世代を担う大切なハチが育てられる時期に、働き蜂の数が最大になり巣の守りも鉄壁になるようにプログラムされているかのようです。丁度、その時期が秋の行楽シーズンやフィールド・スポーツの盛んな時期にあたり、スズメバチの巣を刺激したことにより、一度に多数のスズメバチに刺されて命を落とす悲しい事故が続いてしまいます。

スズメバチによる刺傷リスクは、10月下旬に新女王蜂が離巣し交尾を終えて越冬に入るまで続くので油断は禁物です。一方、どんなに大きく成長した巣も、働き蜂は死に絶え巣としては解散するので、同じ巣が年を越えて活動継続されることはありません。

スズメバチはやむを得ず人を刺している…巣に近づかないことが最善

刺す虫の代表格であるカやブユのメスは産卵するための栄養として血を吸う必要があるので、刺さないと子孫を残せません。それに対して、ハチは外敵から巣内で育つ幼虫や蛹(さなぎ)(写真11)を守るためにやむを得ず刺針による防衛を行うという大きな相違点があります。