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毎年数十人が「殺人スズメバチ」の犠牲に…「刺される人の共通点」と「刺されない絶対ルール」を教えます

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genre : ライフ, ライフスタイル, ヘルス

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毎年数十人がハチに刺され命を落としている。危険なハチから身を守るにはどうすればいいのか。玉川大学農学部の小野正人教授は「死亡事故のほとんどがスズメバチによって引き起こされている。『殺人スズメバチ』と呼ばれているが、ハチは人を刺したくて刺しているわけではない。最も重要なのは蜂の巣に近づかないことだ」という――。

人を刺す「害虫・スズメバチ」の知られざる本性

夏になるとハチに刺される事故のニュースが恒例行事のように流れます。

厚生労働省の人口動態調査によれば、1984年の73人を筆頭に、毎年数十人の人命がハチに刺されたことが原因で失われているのです。この数は、クマ(ヒグマ、ツキノワグマ)や毒ヘビ(ハブ、マムシなど)の被害と比較にならないほど多く、社会問題化しています。

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一口にハチと言ってもミツバチ、マルハナバチ、アシナガバチ、スズメバチに代表される家族で社会生活を営むグループや小さな寄生蜂のように単独生活するグループなど実に多様な種が知られています。

それらのハチの中で、人への刺害をもたらす衛生害虫として最も注目されているのが「スズメバチ」です(写真1)。

 

前述の死亡事故のほとんどが、スズメバチによって引き起こされているからです。日本には在来の同所性スズメバチ(Vespaという属に分類される大型種)が6種分布しています(写真2)。沖縄県にはもう一種ツマグロスズメバチ(写真3)が分布しています。

7月から「最も危険な4カ月」がはじまる

それらのスズメバチの中でも、住宅地で増殖しているキイロスズメバチ(写真4)とコガタスズメバチ(写真5)は「都市適応型スズメバチ」と呼ばれ、人との摩擦が生じやすい危険な種と言えます。

一方、里山など自然の残された環境にはオオスズメバチという世界最大のスズメバチ種が生活しており、ハイキングや郊外学習などの際に深刻な事故を引き起こす事例が後を絶ちません。

スズメバチによる刺傷事故の発生には大きな特徴があります。それは、1年の中でも事故が7~10月の4カ月間に集中していることです。