香りの強いものを付けてスズメバチの巣に近づかないようにするのが無難と言えます。
刺された場所を口で吸ってはいけない
どんなに注意していても刺されてしまうことがあるかもしれません。そのような場合の初動対応としては、まず、刺された場所がスズメバチの巣の近くの場合、できるだけ早くその場から離れましょう。興奮した多数の働き蜂により次々に攻撃が重なるので危険だからです。
次に刺された患部を綺麗な冷水で洗い流し、できれば指で摘まむか市販のポイズンリムーバーなどを使って少しでも毒液を体外に出すのは有効です(写真12)。
この時、絶対に口で吸ってはいけません。毒液が口腔内の傷から体内に入る可能性があります。刺された箇所が赤くあるいは紫色になっているのは、毒液中のタンパク質を破壊する酵素の作用の可能性がありますが、患部周辺だけが痛み腫れる状態(写真13)であれば、安静にしていれば良いのです。
しかし、身体全体に蕁麻疹がでたり、呼吸困難になる、血圧が低下して意識がもうろうとなるなどの全身症状が出た場合には、医師によるアナフィラキシーへの適切な治療が必須になるので、一刻も早く病院(アレルギー内科、皮膚科)で適切な治療を受ける必要があります。
アナフィラキシーショックは蜂毒に対しての急性アレルギー反応なので、過去に蜂に刺された経験のある方は、事前に病院などで抗体検査をしてもらい、場合によってはエピペンを処方してもらっておくと万が一の場合に有効かもしれません。
「殺人スズメバチ」と呼ばれているけれど…
ここまで読み進めて下さった方は、スズメバチに対してとても悪い印象をもたれたのではないかと心配しています。
確かにテレビなどでスズメバチの枕詞のように使われるのは「殺人」、「最恐」と好まれざる生き物として扱われています。人を刺す「衛生害虫」、ミツバチを襲う「養蜂害虫」、果物を食害する「果樹害虫」と「害虫」扱いがほとんどです。