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笠原さんが「あぁなりたいな……」と語る憧れの存在とは

――例えば、どういうことですか?

笠原 もっと料理を美味しくしたいし、料理自体も上手になりたい。「賛否両論」というお店を使って、もっといろいろ仕事もしてみたいしね。売れてるお笑い芸人さんでも、たまに単独ライブとかやるじゃないですか。ああいうのはかっこいいなって思う。

 定期的にソロライブみたいなことを店でもやりたくて、その日は、自分でメニューを考えるのは当然として、カウンターに10人くらい座ってもらって、仕込みから何から全部ひとりでやる、みたいなね。ちょっとトークも交えながら(笑)。

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 さまぁ~ずとか、バナナマンとか、お笑いの人たちが「今度単独ライブがあって稽古が忙しい」っていうのを聞くと、あれだけのベテランなのにすごいなあ、俺もソロをやりたいなあって思う。

撮影 榎本麻美/文藝春秋

――さまぁ~ずとバナナマンがお好きなんですか?

笠原 好きですねえ。ほら、俺、東京育ちだから。東京のお笑いが好きなの。(ビート)たけしさんとかも当然好きだけどね。最終的には、ああなりたいですよね。

 料理界には大御所がいっぱいいるから、俺なんかやっと中堅になったくらいだけど、それでもまだまだ新しいものを生み出せるんだぞって、若手に刺激を与えるような活動をしていきたいですね。同世代にも「笠原、まだ面白いことやってんな」って刺激になりたいし、当然先輩からも褒めて欲しいし。

――ご活動の幅広さでいうと、香港にも出店されていましたよね?

笠原 あれは騙されたからね。いい勉強になった。3カ月くらいで閉めちゃったから。

撮影 榎本麻美/文藝春秋

香港出店の際にあらわれたひとりの“おっさん”

――そのお話は伺ってもいいですか?

笠原 全然いいですよ。

――騙されたというのはどういうことですか?

笠原 香港のコーズウェイベイ(銅鑼湾)という繁華街に新しくできるビルがあって、その何フロアかで日本のものを紹介する、日本のレストランの橋渡しをする会社のおっさんがいて。

――おっさん。

笠原 日本の政府も絡んでいるので安心できますって、うち以外も何軒か日本料理店が出店して、完成予想図もすごいわけですよ。それがいざオープンしても、他のフロアはなかなか工事も進まないし、計画通りに進まないなあとは話してたんだけど、うちの店はおかげさまですぐにお客さんがわーって来てくれたの。香港のいろんな雑誌に紹介されて、僕もインタビューを受けたりして、香港にしてはリーズナブルでいいって。