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【摂食障害】食べて吐くことが“快感”になってしまった20代女性タレントの末路「私の身体と心は、すさまじい速度で壊れていった」

【摂食障害】食べて吐くことが“快感”になってしまった20代女性タレントの末路「私の身体と心は、すさまじい速度で壊れていった」

『摂食障害モデル』 #5

2023/10/08

genre : ライフ, 社会

note

 このままでは大食い系の企画は全く成立しない。どうすればいいだろう。そこで思いついたのが、例の過食嘔吐だったというわけだ。すでにやり方は習得していたし、これは使えると思った。

 ひとつの大食いを達成したら、次はもっと量が多いものを。それもまたクリアしたら、さらに過激なものを。日に日にスケールアップしていく企画を過食嘔吐を使ってなんとかこなしていくうちに、自然と私の胃のキャパシティも大きくなっていった。これは非常に良くないループだ。

 気付けば私は、一度にとんでもない量を食べられるようになっていた。いや、正確には「吐けるように」なっていたと言った方が正しいかもしれない。一旦は胃の中に入れても結局すべて吐き出してしまうわけだから、実質なにも食べてないのと一緒だ。嘔吐による胃酸で、すぐに歯がボロボロになった。

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「吐くことが最高に気持ちいい」

 そしてある程度の数をこなすうちに、私にとってとても困った変化が訪れた。だんだんと「胃の中のものをすべて吐く」というその行為自体が、快感になってきたのだ。

「太りたくないから吐く」のと「気持ちいいから吐く」のとでは、その意味も危険性も全く違ってくる。どんどん後者の方に寄っていった私の脳みそは、着実に嘔吐の快感にむしばまれていたのだろう。

 吐いてる間は頭が真っ白になって、何も考えられなくなる。最初は当然苦しいけど、だんだんその感覚がクセになってきて、最終的には「最高に気持ちいい」に変わっていった。

 そして吐き終わった後は急激に血糖値が下がるから、1時間ほど気絶するみたいに休憩して、起きたらまた食べ物を探しに行く。ここまできたら立派なゾンビだ。

 45リットルの大きなゴミ袋が、まるまる3袋分。

 これが最終的に私が1日で食べられるようになった量であり、吐けるようになった量だ。ハンバーガー10個、パスタ3キロ、Lサイズのピザを2枚、そしてアイスクリームを5個と菓子パン10個……。挙げだしたらキリがないけど、とにかく明らかに普通の人間の許容量を超えていた。

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