2/6ページ目
この記事を1ページ目から読む
厳密にはヒト、サル、シカともにそこまでの数はいないのだが、猿がこれだけ広く高密度に分布する場所は屋久島以外にはなく、猿撮りの私には聖地と呼ぶに値する場所である。
「一目で違和感を覚えるほど…」島の大型動物の“傾向”
ヤクザルとヤクシカは、私たちにとって馴染み深いニホンザル、ニホンジカの亜種という分類に位置づけられるが、一見した感じはいわゆる“猿と鹿”である。しかし、猿の体毛は灰色がかって粗く、鹿も胴部分に対して四肢が短かったりと、細かな身体的特徴が色々とある。
なかでも特筆すべきは体の大きさで、ヤクザルはニホンザルと比べひとまわり小柄、ヤクシカに至っては一目で違和感を覚えるほど小さく、大人の鹿でもニホンジカの子鹿程度の大きさしかない。ニホンジカよりも大きな北海道のエゾシカと比べると、体重は3分の1に満たない。
私は研究者ではないため詳しいことはわからないが、どうやら島の法則(Island Rule)というものがあって、それによると島の大型動物は小型化する傾向にあるらしい。
早朝の船で屋久島へ。しかしいきなりショッキングなニュースが…
ヤクザルとヤクシカのもっとも多く分布する島の西部は、広大な照葉樹の森に覆われている。屋久島には島を一周するように外周道路が敷かれており、この森の中を通る区間(大川の滝〈おおこのたき〉付近から屋久島灯台までのおよそ20km)は「西部林道」と呼ばれている。ここを車で走るときはヤクザルやヤクシカと会わずに森を抜ける方が難しい。
早朝の船で鹿児島港を発ち、小雨降りしきる宮之浦港から屋久島入りした私の元にショッキングなニュースが届いた。