世界の睡眠研究を知り尽くす神経科学者とヘルスジャーナリストが、睡眠が健康や幸福に与える影響について最新の知見を紹介した本書は、2020年12月に翻訳刊行された『Sleep, Sleep,Sleep』を加筆、再編したもの。同じ出版社から出ている『運動脳』『食欲人』がヒットしたため、「運動、食事ときたら次は睡眠」と考え、再編して新版を発売したところ、見事に目論見が当たったのだという。
「以前、睡眠の質を高めるハウツー本を作ったことがあるのですが、私自身は、それだけでは満足な睡眠が得られなくて。自分の行動を変えて、良い睡眠習慣を定着させるには、睡眠が心身に与える影響を知ることが必要だと思いました」(担当編集者の梅田直希さん)
本書によれば、十分な睡眠は二型糖尿病や肥満、うつ病などの予防につながるという。たった一晩の睡眠不足で脳の海馬と視床にはアミロイドβ(アルツハイマー型認知症の原因ともいわれるタンパク質)が5%増加するなど、寝ないことで起きるダメージにも言及。体内時計を整える方法や、寝室の窓を開けて酸素を増やすとよく眠れるといったティップスも豊富だ。
「ストレス緩和や筋肉減少の予防など快眠のメリットが身に染み、以前より90分ほど長く睡眠を取るように心がけ、仕事の効率も上がりました。本書が眠りを変える機会になることを願っています」(梅田さん)