福岡の中心街まで西鉄で1時間。世界遺産の町「大牟田」の“現在地”

 ……などと考えていると、大牟田の町はとめどなく斜陽に向かう地方都市の典型例、ということになってしまう。しかし、忘れてはいけない。大牟田は世界遺産の町だ。

 

 世界遺産は登録直後にバブルが起きて、あっというまに弾けて消えるというイメージがある。ただ、炭鉱を中心とした世界遺産に加えて、大牟田には年金通りなどのレトロな商店街があるではないか。

 

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 コロナ禍で消滅するかと思われたスナック文化も、いまやすっかり息を吹き返している。大牟田は、いまも続く工場に加えて世界遺産、そしてレトロな商店街を持つ。

 

 福岡市内までは、西鉄に乗って1時間。もちろん、イオンやゆめタウンもマイナスにはなるまい。もしかすると、大牟田はまさに復権の最中にあるのかもしれない。

写真=鼠入昌史

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