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 丹羽も「持つべきものは金持ちの彼女だよ」と友人たちに胸を張った。石井とは、厳格な父親に結婚を反対されて駆け落ちしているため、実家の資金力は頼れないという“設定”だった。

夫の自殺の原因は…

 石井の法廷証言によれば、最終学歴は中学校卒。その後はベビーシッターや保育園のアルバイト、家政婦などをしながら、2人の娘を育てた経験があるという。元保育士を自称していたが、資格は持っていなかった。

 石井が育った埼玉県川口市の知人が語る。

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「子供の頃から口が達者で、虚言癖がありました。小学校時代は母親が経営していたスナックの2階に住み、高校生になると、自分も店で働いていました。高校生の頃、野球部のコーチと付き合っているといい、『私のためにパイプカットしてくれた』とうそぶいていました。お店のお客さんと交際し、相手の気を惹こうとして家出をしたことも。結局、高校は中退しています。その後、父親の紹介で、競艇選手と結婚。2人の娘を生んでいますが、当時は本当に金使いが荒かったです。夫は自殺してますが、陽子の借金が原因だったと聞きました」

石井陽子被告

石井が持つもう一つの正体

 のちに本庄市に根城を構えた石井が、丹羽も利用しながら周囲から騙し取ってきた金は、少なくとも3000万円以上になるとみられる。

 白骨遺体で見つかった老婆の不正受給年金などが約1150万円、丹羽の父親に無心したのが約1400万円、丹羽の親友のAさんには約600万円、丹羽の友人のBさんとその元妻のCさんの被害が500万円以上――。その他、丹羽や知香のキャッシュカードや通帳も管理し、それらの口座には逮捕時、数千円しか残っていなかった。

 5歳児だった歩夢くんが虐待死し、床下に埋められた事件の主犯格。その残酷すぎる犯行事実に霞んでしまうものの、他者を欺いて金を吸いあげる“ペテン師”の顔が、石井が持つもう一つの正体だった。