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 ポリーにも、いろんなタイプの人がいる。中には、「ポリアモリーはこうあるべき」と強調する人もいれば、モノ規範と葛藤し続けている人もいる。

「ゲイとかレズビアンとかの権利運動も一緒だと思うんですけど、『正しいレズビアン』とか、『リアルゲイ』とか、そういうのを経由する時期があるんですよね。浮気とポリアモリーは違うとか、不倫とポリアモリーは違うとか。違うは違うんですけど、私は、広い意味でのノンモノガミーな人たちを、ポリアモリーって言葉を使って排除していくのはちょっと間違っていると思います。分断を招くし、コミュニティを閉じてしまう。

 浮気・不倫とか言われている人の中に、ポリアモリーを知ればそうしたいって思う人もいるんです。その人たちにも、垣根を低く、コミュニティを開いていたい。『正しいポリアモリーしか許せない』みたいのには乗りたくないなと思うし、ポリアモリーっていう言葉を使ってる以上、それに乗っけられてしまうのであれば、私は別にポリーだと名乗らなくてもいいなと思う。

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 でもそのタグがあるからこそ、こうやって取材を受けることとかもできるので。それぐらいのものとして使っていこうかなと思ってますけどね。だから「的」ってつけてるんです。

 つまり、『ポリアモリー的な暮らし』。

 ポリアモリーが知られてきたからこそ、若い世代の人たちに「ポリ規範」が強くあるようにも感じます。前にレインボーパレードで、既婚者でポリーな人が、若い子と話していたら、『結婚してるのにポリアモリーなんですか』って言われたとか。はは。ちょっとした分断というか、感覚の違いみたいなのが起きてると思いますね」

ゼロサム思考とモノガミー

 MITSUさんとKisaraさんは、モノ規範に違和感を抱きつつ、自身の関係指向を丁寧に言葉にしてきた。

 Kisaraさんが、mixiという閉鎖性の確保されたSNSで、自身の考えを丹念につづる。その言葉にMITSUさんが惹かれ、自分の関係指向を理解する。そして、説明のためにパートナーに提示をする。こうしたエピソードは、ポリーやポリアモリーといった言葉が、自己理解のために緩やかに拡散され、実践されていくことも明らかにしてくれる。

 二人はそれぞれ、モノガミーに適応しようとしていた時期があった。しかし、モノガミーな関係が要求する排他性や独占性について、理解と適応が難しいと痛感する。だからこそ、モノ規範との葛藤に陥っていた頃と比べても、拡張的な家族様式=ポリファミリーを模索している現在の方に、満足していると語る。