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「他の男とセックスするのはいや」と夫に言われ「女の子だったらいいんだ」愛し合う既婚女性2人が辿り着いた“自分たちの家族のカタチ”

『もう一人、誰かを好きになったとき:ポリアモリーのリアル』より#2

2023/12/17
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「mixiのコミュニティに、彼女が書き込みをしていて。そこから私が、彼女のプロフィールに飛んで、足跡とか残ったんですよね。そこからたどってきてもらって、やり取りがコメントとかで始まった感じですね。彼女が、日記とかでポリアモリーのことをすごく丁寧に書いていて」

 Kisaraさんはmixiにて、文才豊かに、自身の人間関係などについて綴っていたという。MITSUさんはその文章に惹かれて、Kisaraさんとやりとりを始めた。

 その頃から、異性愛規範、モノガミー規範をはじめ、「付き合っていなければセックスしてはならない」「セックスするには愛し合っていることが必須」といった価値観から距離を取るようになった。フェアで自由に性愛を楽しもう。そう探求するようになった。

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大阪での新たな生活

 二人が初めて会ったのは、やりとりを始めてから1年半ほど経った頃。当時、MITSUさんは仙台に住んでいたが、Kisaraさんが会いに来てくれた。当時Kisaraさんは既婚だったが、MITSUさんとも「パートナーのような関係」になった。

「パートナー、とか、付き合う、っていう言葉を私たちはあんまり使わないんです。定義があいまいじゃないですか。なので使わないんです。ちょっと恥ずかしいんですけど、私はハニーって呼んでます。彼女のmixi日記上とかでも、私は〈ハニー〉として登場するようになったんです。自分も、憧れていた物語の中に入れたって感じですね」

 そこから年に2回くらいずつ、MITSUさんはKisaraさんの暮らす大阪に遊びに行くようになった。

 MITSUさんが大阪に通うようになってからしばらくして、Kisaraさんの「旦那さん」にも会うようになった。

 最初は、「仲のいい友人」として会い、しばらく後に、「旦那さん」にもオープンにするようになった。Kisaraさんが、「あなた以外にも大事な人がいるんだ、一回食事しているMITSUちゃんだよ」と告げたのだ。

「かなり家庭は揺れたようなんですけども、その後なんとか落ち着いたみたいで。その数年後に、私が大阪に越して、もっと頻繁に会えるようになって」

 大阪に来てから、MITSUさんは現在の夫になる人と出会う。交際前から、自分自身の関係指向などについて説明した上で、Kisaraさんの日記や、深海菊絵さんの書籍(『ポリアモリー複数の愛を生きる』)を渡すなどした。彼は抵抗することなく、真摯に受け止めたという。

 その後、MITSUさんは彼と一緒に、大阪で暮らすことになる。そのうち、事情を理解する彼のほうから、「Kisaraさんの家のすぐそばに住もうか?」と提案してくれた。

「今は、徒歩3分くらいの距離に住んでいます。私は旦那と付き合い始める前に全部カムアウトしていて、Kisaraさんも旦那さんに全部カムアウトしてるから、オープンな近居という形なんです」

 MITSUさんは取材当時、妊娠出産に向けて、「共同育児チームメンバー」を募集していた。