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 なお、品名は富士そば好きとして知られる小説家・蝉川夏哉氏にちなんだもの。蝉川氏が常日頃からSNSで発信している「富士そば、大好き!」のフレーズを拝借した。

 店長いわく「いつもは品名ありきでレシピを固めるのですが、今回は逆のパターン。悩んでいたときに閃いたのがあのフレーズでした」とのこと。どこまでも自由な店である。

栄光ある「ベスト・オブ・珍そば」は…!?

【第1位 エスカルゴ天そば(門前仲町店)】

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「珍そば・オブ・ザ・イヤー2023」の第1位は、門前仲町店の「エスカルゴ天そば」。女子プロレス団体「スターダム」に所属する桜井まい選手とのコラボレーション企画で開発された。

エスカルゴ天そば(写真:筆者撮影)

 高貴なキャラクターが売りの桜井選手にふさわしい食材として、フランス料理でおなじみのエスカルゴをチョイス。これを富士そば流にアレンジして、エスカルゴ・たまねぎ・にんじんのかき揚げに仕上げた。

 かき揚げの上にガーリックバターソースをかけて、フレッシュバジルを添えたらできあがり。まさに和洋の異種格闘技戦といった様相。どこに出しても恥ずかしくない「珍そば」である。

 販売初日は50食を用意。桜井選手の来店も告知され、プロレスファンが詰めかけた。サイン入り丼やサイン入り色紙のプレゼント企画も実施され、大いに盛り上がった(筆者は色紙が当たった)。

 ただし、エスカルゴ天は時代を先取りしすぎていたらしい。その場にいた客がみな「よくわからんが、これはこれであり」といった表情を浮かべていたのが印象的だった。なんにせよ、プロレスファンに富士そばの面白さが伝わったことに変わりはない。富士そばには、今後もプロレスのストーリーに絡んでいってほしい。

 ここで紹介した「珍そば」は、全体のごく一部。いまこの瞬間も筆者の知らない「珍そば」が生まれては消えている。まだ見ぬ一杯を追い求めるのも富士そばの醍醐味だ。2024年はどんな「珍そば」と出会えるのか、今から楽しみである。この記事を読んだ諸兄諸姉も是非、自分なりの「珍そば・オブ・ザ・イヤー」を見つけてほしい。

INFORMATION

 各店の所在地、営業時間は「名代 富士そば」公式サイト(https://fujisoba.co.jp/)からご確認ください。