「あんたは、私がこれからいちばん大事な話をしようというタイミングにかぎって、いつも『三宅さんは?』『三宅さんは?』と口を挟むのはどういうことだ。三宅とデキてるのか」
そうられたので、私は静かにひと言、お返ししました。
「いえ、デキていません」
ハマコウさんのお怒りはごもっとも。でも番組進行役の私としては、お話をさえぎらないと、他のゲストの皆さんが黙ったままで番組が終わってしまうので、しかたがなかったのです。
話の再開を促してあげる
テレビ番組の討論の場だけではありません。せっかく自分が話しているのに、何かの都合で、話をさえぎられるという場面はよくあります。
たとえば、パーティ会場で、誰かと話をしている最中に、
「あああ、○○さん、お久しぶり!」
新たな人物が登場し、それまで私の話に耳を傾けていた人の関心がそちらへ移ってしまい、話の続きをどう始末したものかと戸惑うことがあるでしょう。
あるいはレストランにて、お喋りをしていたら、
「お話し中に失礼いたします」
運ばれた料理の説明が始まって、ひとしきりの説明が終わると皆がナイフとフォークを持ち、食べることに集中し始める。さて、さっきの話の続きをしたものか、しないほうがいいか。
迷うところです。料理の説明が終わった途端に、
「でね」
話を再開することが、できないわけではない。でもそこまで強引に話題を戻す必要があるほどの内容でないと思うこともあります。とはいえ、ハマコウさんじゃないけれど、これからこの話の面白みが出てくるところだったのにと、消化不良の気持になってしまう。
モヤモヤした気持を抱えつつ、判断はそのときどきの状況に合わせます。もはやその場の雰囲気が、私の話を求めていなさそうだと思えば、諦めます。でも、中断されたせいで拗ねてしまったのではないかと周囲に勘ぐられるのも癪ですよね。
ずうずうしく再開するか。拗ねた気分を押し隠し、潔く引き下がるか。
そんなとき、
「それで?」
さりげなく話の再開を促してくれる人が一人でもいると、私はその人に抱きつきたい衝動にかられます。なんて優しい人なんだ。私のくだらないお喋りの続きを聞きたいと思ってくださるなんて。まるで天使だ! 女神だ! マリア様だ! 男性なら、仏様かダライ・ラマ様だ!
だからね、私も逆の立場になったときは、話を中断させられた人がいると気づいたら、助け船を出すように心がけております。
「で、さっきの話の続きは?」
たったひと言で、そのあとの会話がどれほど愛と平和に満ち溢れたものになるか、想像してみてください。