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よその番組は緊張する

 見知らぬレストランだけではなく、見知らぬ場所に行ったとき、どうやってそこにいる人々と近づけばいいでしょうか。つまり、勝手知ったる自分の持ち場ではなく、アウェイに置かれた場合のことです。訪問先で大人数に迎えられ、その場所に慣れていないのは自分だけ、などという状況はよくあります。

 私の場合は、自分がレギュラーとして出演している番組ではなく、他の番組にゲストとして招かれたときなどに、そのような緊張感を味わいます。

 番組の収録が始まる前、スタジオ周辺にはレギュラー陣がたむろしています。皆、お馴染みの仲らしく、楽しそうに会話をしている。でも私だけがよそ者です。

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 それでも皆さん、きちんと挨拶をしてくださいます。

「あ、アガワさん、おはようございまーす」

「よろしくお願いしますぅ」

 にこやかにお辞儀をされるのだけれど、はて自分はどんな具合に応じればいいだろうかと考えます。明るく爽やかに? でも妙にはしゃぎすぎても変だから、ここはちょっと落ち着いた大人のモードを前面に出そうかしらね。あれこれ迷いつつ、

「この番組に出るのは初めてなもので。いやあ、緊張しますねえ」

 語りかけやすそうな出演者の一人のそばに近づいて懐いてみるものの、

「大丈夫ですよ」

 それぐらいの言葉しか返ってこない。そうですよね。この人とて、レギュラー出演者としての役回りがいろいろあるでしょう。本番に向けて頭を整理している最中かもしれない。邪魔をするべきではないと引き下がります。

 ならば誰に近づくことが賢明か。それがわからないのがアウェイのつらいところです。

©文藝春秋

ヒロミさんに救われた

 もう20年以上昔のことですが、初めて『TVタックル』に出演したときのことを思い出します。それまで私は他局の報道番組に長年、アシスタントとして出演したとはいえ、芸能人との共演はほとんど経験したことがありませんでした。それなのに、『TVタックル』に出てみれば、ビートたけしさんをはじめ、大竹まことさん、田嶋陽子さん、舛添要一さん、ヒロミさん、飯島愛さんなど、豪華な面々が揃い踏み。引き受けるんじゃなかったと、スタジオに行ってから後悔したほど怯えました。