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74回目の紅白歌合戦

かつては放送自粛も…「過激な言葉のシンガー」だったあいみょん(28)が朝ドラ『らんまん』主題歌を手がけるまで《5度目の紅白出場》

かつては放送自粛も…「過激な言葉のシンガー」だったあいみょん(28)が朝ドラ『らんまん』主題歌を手がけるまで《5度目の紅白出場》

2023/12/31
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紅白で歌う「愛の花」の聴きどころは…

「愛の花」は、朝ドラ『らんまん』のために書き下ろした一曲だ。あいみょん本人は、「爽やかで開けた、朝に聴いても似合う曲」をイメージして作ったと語っている。

『らんまん』で神木隆之介が演じた主人公・槙野万太郎は、実在した植物学者の牧野富太郎がモデルだが、あいみょんは「愛の花」の歌詞を、浜辺美波が演じたその妻・寿恵子の目線から書いたという。「私は決して今を 今を憎んではいない」というフレーズも聴きどころだ。

 紅白でのあいみょんのステージには、神木隆之介も登場して主題歌への思いを届けることが発表されている。司会をつとめる浜辺美波との“夫婦再会”も見どころなるだろう。

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浜辺美波演じる妻・寿恵子の目線から歌詞を書いたという「愛の花」。その歌詞にも注目したい(『らんまん』NHK公式サイトより)

「愛の花」以外にも、2023年のあいみょんは充実した活動を繰り広げてきた。10月にリリースされた「ノット・オーケー」は昭和歌謡のレトロな雰囲気をまとったポップチューン。エキゾチックなストリングスの音色が印象的な一曲だ。

 そして「あのね」は、黒柳徹子による自伝的小説『窓ぎわのトットちゃん』の初の映画化にあたって主題歌として書き下ろした一曲。2022年の紅白歌合戦のときに黒柳徹子本人から「よろしくお願いしますね」と声をかけられたという秘話も明かしている。約6分50秒と、あいみょんの楽曲の中で最も長尺のミディアムバラードだ。

あいみょんに「(『窓際のトットちゃん』の主題歌を)よろしくお願いしますね」と声をかけたという黒柳徹子 ©文藝春秋

世代や国境を越えるあいみょんの歌

 弾き語りとバンドセットのライブにも定評がある。2022年には地元・西宮市に錦を飾った初のスタジアムライブ「AIMYON 弾き語りLIVE 2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場」が実現。2023年は全40公演とキャリア史上最多となる公演本数の全国ツアー「AIMYON TOUR 2023 -マジカル・バスルーム-」を開催した。

 さらに、その人気は海外にも広がりつつある。というのも、2017年にリリースした「愛を伝えたいだとか」が、TikTokを介して韓国の若い世代の間で流行中なのである。BTSのSUGAが「最近よく聴く曲」として紹介したり、TOMORROW X TOGETHERやENHYPENが曲にあわせたダンスをTikTokに投稿するなど話題が広がっている。

 YOASOBIやAdo、Vaundyなど新たにブレイクを果たすアーティストが続々と登場し、音楽シーンに世代交代の波が訪れた2020年代。そんな時代の中でも、あいみょんはこの先も世代や国境を超えた支持を広げ、心に染みる歌を届けてくれるだろう。

かつては放送自粛も…「過激な言葉のシンガー」だったあいみょん(28)が朝ドラ『らんまん』主題歌を手がけるまで《5度目の紅白出場》

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