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亡き妻の遺体を入れた棺桶と、12歳の孫娘とヒッチハイク 「葬送のカーネーション」を採点!

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〈あらすじ〉

 荒涼とした冬景色が広がるトルコ南東部。年老いたムサ(デミル・パルスジャン)は12歳の孫娘ハリメ(シャム・シェリット・ゼイダン)と、亡き妻の遺体を入れた棺桶とともに国境地帯を目指す旅をしている。ムサは、自分たちの故国での埋葬を妻に約束していたのだ。

 ハリメは紛争地に戻りたくないが、両親を亡くして身寄りがないため、仕方なく祖父と行動をともにする。ヒッチハイクを重ねながら、彼らは様々な人と出会い、いくつもの困難に立ち向かう。

〈解説〉

 トルコの新鋭監督ベキル・ビュルビュルの長編第2作。混迷する世界情勢を捉えた中に、人間の精神の旅路を描く、寓話的なロードムービー。103分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★★言わず語らず通じ合うものがあるという確信のもとに描かれた映画だ。立派な顔だちの爺さん。巡礼のようにも思える。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆見たことのない風景にぎょっとするが、そのインパクトに依存しすぎた感も。ミニマリズムに変化をつけるのは難しい。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆荒涼とした風景の中で誰かの善意を期待するなど無謀。少女の困惑は、老いた国民を抱える日本の若者の姿に重なりそう。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆中東の難民の厳しい現実を描きつつ幻想性が絡む。生と死の交感を深く内面化した様な詩的で瞑想的なロードムービーだ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆複雑な脚本は必要ない完璧な例。寡黙なシリア難民である主人公たちを圧倒的風景に立たせただけで成立する脚本の美。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
© FilmCode

INFORMATION

葬送のカーネーション(トルコ・ベルギー)
1月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
http://cloves-carnations.com/

亡き妻の遺体を入れた棺桶と、12歳の孫娘とヒッチハイク 「葬送のカーネーション」を採点!

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