「ゆるすぎる」のに老舗政党をナデ斬りに
選挙を取材した東洋経済記者の在日台湾人・劉彦甫氏によると、台北市内の開票所ではおばさん連盟の比例票が読み上げられるたびに現場で笑みが漏れていたらしい。笑ってはいけない開票会場である。さらに調べると、投票前日の1月12日に台北市内の繁華街・西門町でおこなわれた、投票を呼びかける辻立ちイベントの動画を見つけた。
……ゆるい。この夜、主要3政党はそれぞれ公称10万~数十万人を集める大集会を開いたが、おばさん連盟はマイペースにやっていた模様である。なお、日本であれば「政治運動の前面に子どもを出すな」といった声も上がりそうだが、台湾のカルチャーでそういう意見はあまり出ない。
ところで、有効投票数が約1300万票の今回の選挙で、ヘンな名前の無名政党が約12.9万票(得票率0.93%)を集めたのは快挙である。なんと、これまで1議席を持っていた台湾基進(約9.5万票)や、さらに親民党・台湾団結連盟・新党など、台湾政界では有名な老舗の政党(いずれも過去には議席獲得歴がある)に勝っているのだ。参考までに言えば、2021年の日本の衆院選比例代表の東京ブロックの得票率は、社民党とN党が約1.4%、日本第一党が約0.5%だった。
これは取材に行ってみたい 。仮に訪問先が台湾団結連盟や新党なら、どんな話が聞けるかは多少の想像もつくが、おばさん連盟がなにを話すのかは完全に謎だ。行くだけの価値はある。
「みんながおばさんになるべき」
そこで選挙翌日の14日、おばさん連盟に連絡したところ即日の取材を快諾された。党本部は「ない」とのことだが、党幹事長の何語蓉さん(以下、ユーロン)のパートナーが経営する美容室が台北の繁華街・西門町にあり、そこの2階で取材に対応してもらえるという。
話を聞いたのはこのユーロンさんと、党の政策担当のペイリンさんだ。いずれも子どもを持つ女性である。ここからは問答形式で書こう。