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 本作でウォンが演じるのは、家族とも問題を抱えた孤独なタクシードライバー。外国人難民への偏見を隠さなかった彼が、あるきっかけで難民の少年を助けようとする。本作の演技でアンソニー・ウォンは台湾金馬奨の最優秀男優賞を獲得した。

 

リム 今までの映画ではなかったキャラクターを演じられたと思いますが、実際演じてみてどう思いましたか? そして結果に対して満足されてますか?

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ウォン いや、実は昔はこういうようなキャラクターばかり演じていたんだよ。ある意味、これはアート系『エボラ・シンドローム~悪魔の殺人ウィルス~』(1996)だと思っているし、アート系『欲望の街』シリーズ(1995~)だとも言える。たまたまカルト映画やヤクザ映画ではなく、アート系社会派の映画になっているだけだ。

孤独なタクシードライバーを演じた『白日青春-生きてこそ-』 PETRA Films Pte Ltd © 2022

太るために毎日ハンバーガーを2個食べた

ウォン 実は自分の周りには、主人公のタクシードライバーのような人は多い。自分勝手で頑固で、自分が一番正しいといつも思っている。表面的には人道主義者や博愛心を持っている人に見えるかもしれないが、実は自分のことしか考えていないような人間だ。

 劇中で主人公はパキスタンの難民少年ハッサンを助けようと奔走するが、実は本当にハッサンのためにやっているかは怪しい。彼は贖罪のためにやっているのだ。要するに、自分のためにやっているのではないかと思う。もちろん、この映画を見て希望を見出してくれる人もいるだろう。それは映画の一番重要な機能の一つでもある。なぜなら映画は夢を売らなければならないからだ。

アンソニー・ウォンは本作で台湾金馬奨の最優秀男優賞を受賞 PETRA Films Pte Ltd © 2022

 自分の芝居については、とても満足している。何年も待って、やっと金馬奨の最優秀男優賞を受賞することができ、今までの自分の努力が報われてとても嬉しかった。そしてちょうどあまり仕事のオファーがなかった頃の受賞だったので、本当に嬉しかった。審査員たちに深く感謝している。

リム 今回の出演でなにか苦労されたエピソードがあれば教えてください。

ウォン 正直なところ、役作りのために事前になにか準備するようなことは基本的に一切しません。今回一番苦労したのは、いかに老いた人を演じるかだった。老人らしく見えるように、お腹周りを太らせようと思った。そのために毎日撮影が終わってからハンバーガーを二つほど食べていた。かなりしんどかった。すぐに体の調子を崩したが、多分ハンバーガーの食べ過ぎが原因だと思う(笑)。