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師匠のこと、兄弟子のこと

――内山先生は北島忠雄七段門下。弟子になったいきさつを教えて下さい。

内山 小学生の頃、学校の放課後スクールみたいな将棋講座があって、月に1回指導員の方が教えに来てくれました。私は連盟の子どもスクールに入る前から参加していました。私の他にも強い子が2人いて一緒に文部科学大臣杯小中学校団体戦(同じ小学校、中学校3人チームの団体戦)に出て5年生の時に東京都代表を勝ち取り、東日本大会に出場することになりました。そのときに指導員の方が知り合いの北島先生に3人に稽古をつけて下さいとお願いしてくれたんです。すごく優しく教えていただきました。

 将棋連盟のレディースセミナーにも通っていて、そこに北島先生が講師として来て下さることもあり、教えていただく機会がそれからもありました。ご自宅も近く、両親とともに研修会入会時に師匠になっていただけるようお願いに行き、快く引き受けていただきました。

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――内山先生は北島門下で初の女流棋士で次に棋士になったのが小山怜央四段です。小山四段は奨励会を経ていないから棋士編入試験を受けたときが入門だとすると弟弟子ということになるのですか?

内山 年齢的にも、いくらなんでも私が姉弟子というわけにはいかないです! 小山四段が兄弟子だと周りにも言っています。小山四段は私が北島先生に入門する以前に三段リーグ編入試験を受けて(2016年。不合格で三段リーグに編入はできなかった)、そのときも師匠が北島先生だったので入門も先ということで。小山先生もすごく優しいです。月に一度、師匠のご自宅で一門会があるのですが、その時に指していただいたりもします。

 

――他に田中大貴三段など奨励会員もいますよね。どんな一門ですか。

内山 田中三段には私より強い人が集まるような研究会の代打で声をかけてくれたり、良くしていただいています。皆、師匠と同じく心温かい一門です。私より若い女子研修会員の弟子もいます。

 北島先生は子ども教室もされていて、夜の部には強い子も来ています。そこにお邪魔して、私も北島先生に教えていただいたり、教室のお手伝いをしている強い大学生と指したり、少しですが子どもたちと指したりもしています。

将棋は努力か才能か、と聞かれたら…

――将棋にストイックなあまり、厳しいタイプの方はいないんですね。さて、将棋は努力か才能かと言われることがあります。内山先生はどちらだと思いますか。

内山 ストイックではないし、努力しているとも思っていないです。私より将棋に時間をかけている人はたくさんいるでしょうし。私は大学もあるうえ、お笑いにスポーツ観戦に趣味も多いので。かといって、才能がすごいとは思ってないです。

――では、なにが良い点だと思いますか。

内山 うーん、なんだろう。全然飽きずに将棋の勉強を続けられるところでしょうか。勝っても負けても変わらずに将棋の勉強をするし、勝負に執着がない分、負けて落ち込みません。

――負けてモチベーションが下がり、勉強する気が起きないことがなく、どんなにこっぴどい負けだったとしても、次の日は普通に将棋の勉強ができるということですか?

内山 できますね。終わった対局について復習はするけれど「あそこで、あっちの手を指しておけば勝てたのに」とか落ち込んだり、後悔したりはしません。