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「藤井聡太さんに将棋で勝ったことがあります」「おおー」イギリス生まれ、日本育ちの女流棋士が考える“自分の強み”とは

「藤井聡太さんに将棋で勝ったことがあります」「おおー」イギリス生まれ、日本育ちの女流棋士が考える“自分の強み”とは

内山あや女流初段インタビュー #2

2024/02/16
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――私は大会運営をしているのですが、優勝でないと意味がないという考えの方もいて、3位決定戦があると言っても棄権して帰ってしまうケースもあります。内山先生は3決があったほうがいい派なんですね。

内山 確かに3決はしないで3位2人でよいという考えはあると思います。私の場合、3決がないと決勝戦をやっている間、表彰までヒマになってしまうのがもったいなくて。そんなときは、誰かつかまえて練習対局をしましたね。

「藤井聡太さんに将棋で勝ったことがあります」と自慢

――女流名人リーグの話でも、たくさん指せることが嬉しいとおっしゃっていました。アマ時代もプロになっても一貫しているのが分かります。優勝にこだわりはないとのことですが、優勝で大きなご褒美がある大会もありますよね。学年別に行われる大会・名古屋城こども王位戦の中3の部で優勝されたことがなかったでしょうか。

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内山 はい。確か大人数が集まる大会が名古屋であり、決勝に残った学年ごとの2人が、別日に名古屋城で対局し、優勝者だけが藤井聡太先生(現竜王・名人。内山女流初段の2歳上。当時17歳)と指せる大会でした。名古屋に2回遠征し、決勝の時はあと1つだから優勝したいと思いました。勝って小1~中3の優勝者9人の9面指しで指導対局を受けることができました。藤井先生が登場したときは「本物だ!」と思いました。

――その対局に9人中3人が勝って、その1人が内山先生だったという記事を読みました。

内山 いろいろな棋士の指導対局会に参加していたので、当時慣れていた角落ちで挑みました。9面指しは大変だったと思います。藤井先生にうまく指されて「これは雲行きが怪しくなってきた」となりました。勝てたのはそこから藤井先生のお心遣いがあったのかなと思っています。

 高校生になって、クラス替えのときに自己紹介で何か自慢できることを1つ言うという機会がありました。「藤井聡太さんに将棋で勝ったことがあります」と自慢したら、教室に「おおー」とどよめきが(笑)。みんな将棋に詳しくなくても藤井八冠のことは知っていますね。