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――人間は今さら結果は変わらないことについて、クヨクヨ後悔し続けて時間を使ってしまうものですが、そういうことがないのは素晴らしい性格だと思います。対局前にピリピリしたり、緊張したりもしないのですか?

内山 しないです。勝負の大きさによって緊張度が変わることもありません。プロになったばかりの頃は多少緊張した気もするけれど、慣れてきて感情の起伏がよりなめらかになってきた感じです。

――そういうタイプだから学業と将棋をうまく両立できるのでしょうね。限られた時間で普段の将棋の勉強はどのようになさっていますか?

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内山 両立については、確かにそうかもしれません。大学がある平日は1人でできる勉強が中心です。詰将棋、次の1手問題、棋譜並べです。将棋を始めたころから買っている『将棋世界』のバックナンバーにある問題をよく解いています。詰将棋は好きで、いつも解いているのは10手台中心にマックスで27手くらい。

 土日は研究会やVSなど外に指しに出かけることが多いです。女流棋士とのVSが4つ。奨励会員中心の研究会にもいくつか参加しています。

イギリス生まれ、日本育ち

――ところで、イギリス・北アイルランドのベルファスト生まれとのことですが、どれくらい海外にいたのですか?

内山 父が大学の研究者で、イギリスにいたときに私が生まれました。生後10カ月で日本に帰国したので、そのときの記憶はありません。その後も、学会などで父が海外に行くときは母と私もついていくことがよくあり、幼稚園から小学校低学年のころは1カ月くらい滞在することも。博物館に行ったり、アメリカでメジャーリーグ、イングランドでサッカーを見て競技場の雰囲気を味わったり、楽しい思い出がたくさんあります。

0歳のときに住んでいたイギリス・ベルファストの家の前で。日本に帰国後も何度かこの家を訪ねている。5歳のとき(写真提供:内山あや女流初段)
5歳。夏休みにイングランドへ。世界有数のサッカーチーム、マンチェスターユナイテッドの本拠地・オールドトラッフォードの見学ツアーに参加(写真提供:内山あや女流初段)

――英語はお得意なのですか? 海外経験を生かして将棋を広めるとか?

内山 それが英語は苦手で。今後の伸びしろに期待というか(笑)。海外普及には意欲を持っています。5年前、駒師の児玉龍兒さんがパリで個展を開き、現地の人に将棋を指して教えるコーナーもあったんです。私も渡仏してフランスの方と将棋を指して、通訳の方を介して感想戦もしました。そうやってコミュニケーションをとるのは楽しい。海外の方にももっと将棋の楽しさを伝えられたらいいなと思っています。