「金星」。女流棋士の世界で常にタイトル争いをしている福間香奈女流四冠、西山朋佳女流四冠に若手の女流棋士が勝つとこう評される。2023年度の女流名人リーグで福間女流四冠から金星を挙げ、さらに格上の女流棋士にも次々と勝って7勝2敗の好成績を残し、プレーオフ進出を果たしてタイトル挑戦にあと一歩まで迫ったのが19歳の新鋭、内山あや女流初段だ。
注目度が一気に上がった内山女流初段に、挑戦を争った福間女流四冠のこと、数学科に在籍している大学のこと、一度女流棋士資格を得た中学生のときに申請しなかった理由など幅広く聞いてみた。
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「連勝できたときは『ホントに連勝しちゃった』と思いました」
――昨年の女流名人リーグでタイトル挑戦まであと一歩と迫った活躍で一気に知名度、注目度が上がり、次世代を担う存在と言われるようになったのではないでしょうか。ご本人としてはどのように思っていますか。
内山 注目されたいなんて思っていなかったので「ええー」という感じ。困っているわけではないけど、ちょっと戸惑いが……。女流名人リーグの成績も出来すぎです。リーグ終盤に差し掛かると、関係者に「このままタイトル挑戦できちゃうんじゃない?」なんて言われて「いやいやいやいや。そんなそんな!」と返していました(笑)。
リーグ9戦のうち、8、9回戦の対局相手は伊藤沙恵女流四段、上田初美女流四段で、連勝できたときは「ホントに連勝しちゃった」と思いましたし、プレーオフに出られるなんて考えてなかったです。
――女流名人リーグは9局指せるリーグです。初めて経験して得たものはなんでしょうか。
内山 女流名人戦は予選のトーナメントで4局、リーグ入りして9局ですから、それだけで対局数が増えました。たくさん指したいというのが一番の希望なので、とても嬉しいことでした。昨年初めのインタビュー(『将棋世界』2023年3月号にインタビューが掲載された)で目標として話した「対局数を増やす」が実現できました。
もちろん結果を出されている大先輩ばかりのリーグで9局指して復習して、それだけでも勉強になりました。