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女流棋士資格を得た中学生のときに申請しなかった理由

――野原女流初段にはインタビューで奨励会入りを考えなかったかという質問をしたことがあります。内山先生も中学生名人戦の好成績に加えて中1秋に研修会にC2入会ですから、奨励会入りを検討していいくらいの実績ではないかと思います。

内山 強い人とたくさん指せる奨励会も良いかなと思ったことはあります。それで、指導対局会など男性の棋士の先生とお話しする機会があれば「奨励会に入るのと、このまま女流棋士になるのと、どちらがいいでしょうか」と自分で質問していました。5人以上の先生に聞いたと思います。菅井竜也八段には「すぐに女流棋士になったほうがいい」と言われました。他の先生も皆さん「女流棋士がいい」とおっしゃり、奨励会入りを勧める先生はいませんでした。それもあって奨励会受験はしないことにしました。

 

――そうだったのですね。研修会では順調に昇級されましたね。特に中2の6月でC1に昇級すると、そのまま8連勝で7月に女流棋士資格が得られるB2に昇級しています。そのときは、女流棋士申請をしなかったのですよね。

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内山 入会したときはC2に見合うだけの棋力がなかったのかもと思っています。初めはあまり勝てずBが付いたくらい(研修会は負け数が多くなるとBが付き、規定の勝数でBを消すことができる。消さない状態で再度Bが付くとクラスが下がる)。なんとか耐えて降級は免れました。

 中2でB2に上がったときに女流棋士申請をしなかったのは、毎月やってくる対局をきちんとこなせるか分からなかったからです。また、大学進学をすると決めていたので、それなりに勉強も考えなくてはいけない。中途半端な状態ではなく、高校受験を終えて女流棋士になれる準備が整ってからでも遅くないと申請を見送りました。

――しばらくB2クラスのまま研修会で対局を続け、中3の5月に休会されていますが、これは受験のためだったのですね。完全に将棋をお休みしたのですか。

内山 いえ、受験勉強をしながら、詰め将棋も解いていたし、将棋連盟ライブ中継アプリで対局中継も見ていました。以前ほどではないにせよ、大会にも出ていました。

――休会後は同じB2クラスに戻れるのだけど、女流棋士申請するには復帰後48局指してB2クラスをキープ(もしくはB1昇級)しないといけないというルールだったのでしょうか。

内山 そのルールは私が生み出してしまったというか。当時、女流棋士になるにはB2昇級から1年以内に申請をしないといけなかったのですが、私の場合は休会期間中に1年になる。その場合はどうなるのですかと幹事の先生に相談に行きました。しばらくして復帰後に48局(1日4局で月に2回なので半年かかる)という新ルールの説明があり、納得の上で休会しました。先生方には大変お世話になりました。