Q  「世界の交差点」タイムズスクエアで警察官と乱闘…一体なにが?

 1月27日、アメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアで乱闘が発生し、警察官2名が負傷し、5人が逮捕されたというニュースを見ました。事件が起きたのは移民の保護施設の前で、警察官が移民とみられる男性たちに移動するように促していたところ、乱闘になったそうです。このような事件が起きた背景を、ぜひ解説いただけたらと思いました。(50代・女性・主婦)

「世界の交差点」とよばれるニューヨークのタイムズスクエア ©AFLO

A ニューヨークの人たちの見方が変化している

 アメリカは政治的立場によって、不法移民に対する考え方が異なります。共和党のトランプ前大統領は「不法移民が入れないように国境に壁をつくる」と言って、不法移民に厳しい態度を取っていたので、アメリカに入国を試みる移民は減っていました。

 しかし、民主党は移民に対して寛容で、バイデン政権は移民を受け入れる方針を示してきました。このため「バイデン政権なら入国しやすくなった」と考えた中南米から大勢の移民がテキサスやフロリダに押しかけてきました。

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2021年に就任したバイデン大統領 ©時事通信社

 しかし、テキサスもフロリダも州知事は共和党。「移民が大勢来て困っている。他人事だと思って移民に寛容な民主党の牙城のニューヨークに送ってやる」とばかりに移民をバスに乗せて次々にニューヨークに送りつけたのです。

 このためニューヨーク市は不法移民を受け入れるためにホームレス用のシェルターを転用したり、ホテルを借り上げたりしていますが、収容しきれません。不満を募らせた移民の中には、ちょっとしたことで暴力を振るったり、盗みに走ったりしている人もいるのです。

 このため移民に寛容だったニューヨークの人たちの移民に対する見方が変化しています。現時点では、今年の11月の大統領選挙で「不法移民を追い返せ」と主張しているトランプ前大統領が優位な形勢になっているのです。

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