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悲劇の妻では終わらない…「ナワリヌイ夫人」として生きてきたユリアは大統領選でプーチンに反撃できるか

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genre : ニュース, ロシア

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アレクセイは、ベルリンのシャリテ病院で一命を取り留めた。

検査によって、使われた毒物はノビチョクと判明した。1970~80年代にソ連で開発された化学兵器としての神経剤。ノビチョクは夫の下着に付着していたと、ドキュメンタリー映画の中で明かされている。9月、メルケル首相は記者会見を開き、「ロシア政府しか答えられず、同政府が答えなくてはならない深刻な疑問」が持ち上がったと述べた。そして、北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)の加盟国と連携して、ロシアの対応を見ながら、一致して適切な対応を求めてゆくと述べた。

最悪の事態を乗り越えたユリアに「強い女性」というイメージが

昏睡状態から回復した後、アレクセイは「ユリア、あなたは私を救ってくれた」と、妻への愛の告白のような長いメッセージ書いた。ユリアの類まれな復活力を持つ強い女性のイメージは、この言葉によってさらに強化された。そしてユリアに新たな人気の波をもたらしたと、女性のスタイルマガジン『Woman.ru』は評している。

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しかし、彼女が強くなったとしたら、最悪を覚悟したからだ。ユリアはインタビュービデオで、「この物語の後、私は『死』と『死ぬ』という言葉を言えるようになりました」と述べた。彼女はこの言葉が嫌いで、家族がそのような言葉を使うと、ひどく悪い言葉で反応していた。しかし「彼はおそらく死ぬだろうとわかり、どういうわけかこの言葉を使うのが簡単になりました」と語った。

回復後、ナワリヌイ氏は何度か妻と一緒にインタビューに応じている。その中で、彼女は一度だけ悲劇的な展開で泣いたことがあると認めた。夫が拘束され、娘の卒業式に出席できなかったときだったという。

夫の回復期、二人は、ドイツでほんの束の間の穏やかな日々を過ごすことができた。

政治的発言をするユリアに対してバッシングが始まる

ユリアに対する注目が集まれば、バッシングも始まる。

彼女の父親ボリス・ボリソビッチ・アブロシモフが「KGB(ソ連の諜報機関)職員」であると発言した人がいる。ナワリヌイ夫妻は否定している。