機能性表示食品のガイドラインには、健康被害に関する事項が定められており、「万が一、健康被害が発生した際には、急速に発生が拡大するおそれが考えられる。そのため、入手した情報が不十分であったとしても速やかに報告することが適当である」と記載されています。今回の同社の対応は、このガイドラインを大きく逸脱している、と思えます。
今、健康被害の訴えが続々、広がっています。報告の2カ月の遅れは、被害拡大につながっていないでしょうか。
厚生労働省は3月22日、都道府県等に情報を上げることや、消費者への適切な対応を「事務連絡」として伝え、25日には日本医師会に協力を要請しました。しかし、対応が弱いように思えます。今回の事案は、非常に大きくかつ深刻な「食中毒」事案です。「直ちに摂取の中止を」と強く呼びかけるとともに、厚生労働省が中心になり、「食品衛生法違反のおそれあり」として、自治体や国立研究機関と共に迅速に原因調査すべきではないでしょうか。
消費者庁は制度の問題点を洗い出すべき
小林製薬は、複数の大学と共に解明を進めていると記者会見で説明しましたが、同社が大学に調査費などを提供している以上、調査に第三者性がありません。当事者に調査を任せてよい軽微な事案ではありません。
また、消費者庁は、機能性表示食品の届け出手続きなどをすべてストップし、紅麹サプリメントの調査、制度上の問題点洗い出しを進めるべきです。また、安全性や品質管理等の見直しを全事業者に求め、第2、第3の“事件”が発生しないように姿勢を示すべき、と考えます。
消費者も、当該製品が手元にないか調べ、使用を中止しなければなりません。
また、情報にも注意を。麹菌と紅麹菌は区別しなければなりませんし、紅麹から抽出した「ベニコウジ色素」が食品添加物として用いられていますが、この添加物については「ベニコウジカビの培養液から得られた、アンカフラビンおよびモナスコルブリンを主成分とするもの」という規定があります。今回問題になっている製品と同一視はできません。