釣具屋で販売されている釣りエサにこだわらず、スーパーの生鮮食材や業務スーパーの冷凍食材でも意外と魚が釣れる。閉店間際の割引商品で美味しい魚が釣れたときのお得感は大きいし、型に囚われず色んなエサで釣果を検証してみると新たな発見があって面白い。
その延長線でもあり、エサ代をさらに抑えた遊び方として、最近では現地で採取した生物でどれほど魚が釣れるのか検証しているのだが……これが、驚くほど効果的なことがわかってきた。そこで、今回は狩猟欲求も満たされて、高級魚まで釣れまくるエサ代0円フィッシングを紹介する。
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漁港などの人工物に群生する「牡蠣」
はじめに紹介する0円のエサは、スーパーの生鮮コーナーでも販売されている冬の味覚のひとつである「牡蠣」。釣りにおいては、養殖されたエサ用牡蠣が通販サイトで販売されているが、漁港や河川の河口に行けば天然の牡蠣が所狭しと群生しているのだ。
この牡蠣を獲ってエサにする。しかし、手でもぎ取るのは不可能なほど地面に固着しており、さらに鋭利な牡蠣殻の前に生身の人間では到底太刀打ちできない。そこで貝類採取に必須なマイナスドライバーと、地面との接着を引き剥がすためにハンマーを使う。
牡蠣の底面にマイナスドライバーをあてがってハンマーで叩くと気持ちいいほどポロっと剥がれる。この要領で簡単に現地エサを確保することができる。
ただし、牡蠣は漁業権対象の地域もあるため、対象エリアの漁業調整規則を調べて採取可能かどうか、また採取方法は適切か(は具[剥がしたり掘り起こしたりして採捕する場合に使用する金具]の使用を禁止している場合もある)確認する必要がある。
これ以上ない新鮮な牡蠣を前にして食べずにはいられない方もいるだろう。しかし採取した天然の牡蠣の殻を割って中身を取り出してみると中腸腺(ワタの部分)がふっくらして美味しそうなものもあるが、緑がかって不味そうなものの方が多い。いずれにしても食用の牡蠣とは違い、消毒や貝毒の水質調査もされていないため食べるのは大変危険である。かつて生食不可の加熱用牡蠣を生で20粒食べてノロウイルスで地獄をみた私が言えることは……牡蠣を舐めたらアカン!
採取した牡蠣で大物を狙う
採取した牡蠣から取り出した身をそのまま針にかけても軟らかく、釣りエサとしては扱いにくい。そこで牡蠣を殻ごと海に投入する広島の伝統釣法かぶせ釣りで狙う。
先ずは数粒を殻ごとハンマーで叩き割りぱらぱらと足元に撒いて魚を寄せる。付けエサは牡蠣の貝柱がある位置を先端の尖ったハンマーで叩き、身を崩さないよう蓋を開けると剥き出しの中腸腺に大きめの針をかける。
オモリも付けず殻の重さで海底まで沈める。殻を割る作業に慣れるまで練習が必要だが、針と糸だけでできるシンプルさが魅力だ。