一粒をそのまま餌にすると想定外の大物が…!
続いてはマツバガイをカットせず、そのまま針がけして放り込む前打ち釣法で検証。物理的にエサを大きくして大物を狙う作戦だ。
釣り場は足元に消波用テトラポッドが沈んでいて水深のある岸壁。大きな針をマツバガイの中心にかけてテトラの先に投げ込むと、連続した小さなアタリが続く。ベラやカワハギのようだが、しばらく竿先に集中していると引き込ませるような大きなアタリに変わった。あきらかにエサ取りのサイズではない大物がヒット!
テトラに潜り込まれると、ラインが切れてしまうため強引に寄せると…。
雄になりかけのコブダイが釣れた。エサを撒いて寄せなくとも釣れるくらいなので、テトラや岸壁に生息するマツバガイを常食しているのだろうか。牡蠣も同様だが、現地エサの強みはエサ代0円でお得感があることより、そこに潜む大物が常食しているであろうエサを使うため。驚くほど好反応を見せる点にこそある。ルアー釣りで魚が捕食するベイトに似せたルアーを選択するのと同じく、エサ釣りでもマッチザベイトの法則は強い。
食材としても秀逸なマツバガイ
解凍後の身持ちは悪くなるが、残った貝は冷凍保存しておける。実際に筆者は解凍したマツバガイでコブダイを釣り上げた経験がある。
また、エサとしての優秀さだけでなく、食味も良く、煮つけや鉄板焼きにすれば歯ごたえがあり、噛むほどに貝の旨味が溢れるお酒のおつまみになる。
魚が釣れて食べても美味しいマツバガイ!
イワシであってイワシじゃないトウゴロウイワシ
最後に紹介する0円のエサは「トウゴロウイワシ」。
名前はイワシだが、カタクチイワシやマイワシが属するニシン目ではなく、トウゴロウイワシ目のため生物的には遠い関係。そのため、カタクチイワシが内湾から外海まで広く生息しているのに対し、トウゴロウイワシは関東だと東京湾内より房総半島や三浦半島の漁港や磯など外海に近い海域で見られるなど、生息域が異なる。
関東だと秋から厳寒期にかけて港内を埋め尽くすほど回遊してくるため、網で簡単に掬うことができる。また少量の回遊でも、夜は大型魚から身を守るため港内のスロープなどの浅場に身を寄せる。
そんなトウゴロウイワシはカタクチイワシより釣りエサとして扱いやすい。イワシは魚へんに弱いと書くように泳がせ釣りのエサに使うとすぐに弱ってしまうが、トウゴロウイワシは硬い鱗を身にまとっているため弱りにくい。エアレーションでも長持ちする。さらに、遠投もできるため、釣り方の選択肢が絞られないなど、さまざまなメリットがある。