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 添加物としての調味料は、グルタミン酸などの物質名まで書かなくてもよいことになっている。表示する際には「調味料」のあとにカッコ書きで、アミノ酸や核酸などのグループ名を明記する決まりだ。「調味料(アミノ酸)」と記されているならば、アミノ酸系の調味料のみが使われていることを示している。「調味料(アミノ酸等)」ならば、アミノ酸系の調味料を主に、ほかに核酸系などの調味料も使われていることを意味する。

 アミノ酸系の調味料といえば、代表的なのはグルタミン酸ナトリウムである。つまり、粉末の形では目にしてはいないものの、知らず知らずのうちにグルタミン酸ナトリウムを日常的に使っている可能性が高いということだ。

 だからといって、だしの素(もと)やめんつゆがよくないと糾弾したいのではない。私もめんつゆを常備する一方で、うま味調味料は買い置きしていない。結局のところ、多くの人がいかにも人工的な感じがする白い粉をなんとなくイメージで避けているにすぎないということだ。

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写真はイメージです ©アフロ

終わらない「味の素」論争

 そんなタブーを破ったのが、リュウジなどの新タイプの料理研究家らだ。うま味調味料を公然と使う料理研究家が現れ、しかもその味を支持する大勢が可視化されたことは料理界においてちょっとした衝撃だったにちがいない。しかし、それは賛成派と同時に根強い反対派を炙り出してしまった。

 リュウジのX(旧・ツイッター)では、味の素反対派とのバトルがたびたび繰り広げられている。ついには『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか』という本まで出版した。なぜ自分が味の素を使うようになったのかという経緯から味の素の歴史、活用法、安全性までをとうとうと述べた1冊だ。

 しかし、反対派がこの本を読んで納得した気配はない。この原稿を書いている間もまた、味の素がらみのネタで彼が炎上しているのを見てしまった。同書の帯には「『味の素』論争に終止符を打つ」とあったが、誕生時から何度となく繰り返されてきた論争はまだまだ終わりそうにない。