一部の企画乗車券や、係員のチェックが必要な割引券、通常のきっぷであっても行き先や乗り継ぎによっては発券できないケースがあり、完全に代替することはできなかった。
自動券売機でみどりの窓口を代替させる動きが本格化するのは2000年代後半以降である。JR東日本はマルスのシステムを使い、特急券だけでなく乗車券、定期券などの発券や指定券の乗車変更、払い戻しなどに対応した多機能券売機の設置を拡大した。
また「もしもし券売機 Kaeruくん(2005~2012年)」、「話せる指定券発売機(2020年から導入中)」といったマイクとカメラを用いてオペレーターが遠隔対応するシステムの導入も進めており、これらと引き換えにみどりの窓口の整理に着手した。
ただ近年は多機能券売機でさえも撤去が進んでいるのが実情だ。JR東日本からすれば人から機械にとどまらず、一気にオンライン販売、チケットレスへ移行したいのが本音である。その受け皿となるのが「えきねっと」だ。
なぜえきねっとは「使いにくい」と言われるのか
えきねっとが誕生したのは2000年、実は四半世紀近い歴史をもつサービスだ。当初は「インターネット電子モール」の扱いで、JR東日本グループ・ホテルの予約や商品の販売を行っていた。乗車券・特急券の取り扱いは2001年に始まったが、バーチャルモールとしてのえきねっとに、JR東日本と日本航空、JTBが共同で旅の総合サイト「えきねっとtravel」を出店する扱いだったのは時代を感じる。
その後、えきねっとはリニューアルを繰り返しながらサービスを拡充していくが、サービス開始から現在に至るまで「使いにくい」「わかりにくい」と言われ続けている。駅員が操作するマルスをベースにしているため、きっぷを発券する側の思考で組み立てられており、乗客側の「知りたい」「買いたい」ニーズと一致していないからだ。
2021年の大規模リニューアルを経た現行えきねっとも根本的なところは変わっていない。試しに6月30日(日曜日)、筆者最寄りの大宮駅から乗車し、母方の郷里である長野県の岡谷駅に12時までに到着するきっぷをえきねっとで検索してみよう。