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しかしみどりの窓口7割削減の前提のひとつがチケットレス利用率7割だったとすれば、窓口削減率が5割強、チケットレス使用率が5割強の現時点で混乱が生じるのは、ロードマップ自体に問題があったことになる。

JR東日本がオンライン化・チケットレス化に注力したのは、広く見ても2010年以降、本格化という意味では2019年以降のことである。そうなると、みどりの窓口が中心だった時代が約40年(1965~2005年)、指定席券売機が急速に普及したのが15年(2005~2020年)、チケットレス化を強く促している5年(2019年~2024年)となる。

しかも、みどりの窓口にさえ行けば考えずとも最適な回答を得られた時代とは異なり、今のさまざまなサービスは利用者がそれぞれ選択し、使い分けなくてはならない。またJR東日本、JR東海、JR西日本がそれぞれ予約システム、利用方法を持っているように、分割民営化の縦割りの弊害がデジタル化で余計浮き彫りになっている。

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JR東はどのように進めるべきだったのか

みどりの窓口削減問題というと、他に選択肢のない時代を生きた70代後半以上の高齢者を思い浮かべがちだが、現在の65歳であっても2000年に41歳なのだから、携帯電話やインターネットも一定、使いこなしていたはずだ。

ところが時代の変化はどんどん早くなる。2000年代以降、さらにここ5年の急速な変化に追いつけず、みどりの窓口に頼らざるをえない層が一定程度出るのは仕方のないことだ。公共交通機関である以上、時代の変化についていけない人を切り捨てるなどという選択肢は存在しない。ではJR東日本はどのように「変革」を進めればよかったのだろうか。

オンライン予約やチケットレス化自体はサービス向上であり、利用者にもメリットがある。利用者の多くは乗車券類のデジタル化は中長期的には必然と考えているだろう。だが、コロナ禍の打撃に加え、人口減少・担い手不足に直面する事業者は一刻も早く合理化を進めたいから、自らの都合で時代の趨勢に便乗して強制的に進めようとする。これではうまくいくはずがない。