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松田聖子を途中下車させ、駅のホームで歌わせる…破天荒な番組『ザ・ベストテン』にあった「何が起こるかわからない」テレビの醍醐味

source : 提携メディア

genre : エンタメ, 芸能, 昭和史

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サプライズのつもりがそうならず、伝説級のハプニングが生まれた中継もある。

1984年12月13日の放送。「恋人達のペイヴメント」で第6位に入ったアルフィーは、愛知県犬山市のファンの家をアポなしで訪れて歌うというサプライズを企てた。ところが、行ってみると当のファンが留守。誰も出ない。

犬も吠え出すなか仕方なくそのまま家の前で歌い始めたが、電気系統のトラブルでカラオケのテープが止まりそうになり、あわててスタッフが手動でテープを回したがうまく再生できず、すべてがグダグダになってしまった。

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こうした場合、「サプライズ」とは言いつつ前もって家にはいてもらうようにこっそり交渉していてもよかったはずだ。だがそうしなかった。アルフィーにとってはとんだ災難だったが、見ている側にとっては番組がガチであることの証しでもあった。

一度見たら忘れない演出のクセ

『ザ・ベストテン』の破天荒さは、中継にとどまらない。スタジオで歌う際の演出もなにかと自由だった。毎回曲の世界を引き立たせる美術セットも素晴らしかったが、常識にはまらない驚きの演出、時には意味不明とさえ思える演出も名物になっていた。

田原俊彦の「君に薔薇薔薇…という感じ」では、「薔薇薔薇=バラバラ」という連想で、歌っている田原の胴体がバラバラになるマジックをバックのダンサーたちとともに披露した。胴体を切られながらも手を振りながら歌い続けるトシちゃんに、そばで見ていた黒柳徹子などはあ然となっていた。

また視覚効果を使って、生放送なのに歌手を消したこともある。ピンク・レディーの「透明人間」。「消えますよ~ 消えますよ~♪」と歌った瞬間に、画面からミーとケイの2人が消える。これはデジタル映像記憶装置という最新技術を使って消したものだった。

いまならこうした効果を生み出すのは比較的容易かもしれないが、それを40年以上前にやっていたのだから時代に先駆けていた。

ただ、これらはまだエンタメを追求した演出であり理解可能なほうだ。もっと意味不明でシュールなものも、この番組ではよくあった。

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