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松田聖子を途中下車させ、駅のホームで歌わせる…破天荒な番組『ザ・ベストテン』にあった「何が起こるかわからない」テレビの醍醐味

source : 提携メディア

genre : エンタメ, 芸能, 昭和史

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伝説になった山本譲二のふんどし姿

荻野目洋子が歌った「六本木純情派」。「ダンシング・ヒーロー」と並ぶ荻野目のヒット曲で、失恋したばかりの女性が六本木で繰り広げる恋模様を歌ったダンサブルな曲である。この曲が初めてベストテン入りし、スタジオでの歌の披露となった。

夜の六本木を表現したような電飾をちりばめたセット。ここまではわかる。だが曲が始まると、派手な着物を着たひとをはじめ、全身白塗りの男性たちが荻野目洋子の周りでなにやら怪しげなパフォーマンスを繰り広げ始める。

彼らは暗黒舞踏集団「白虎社」のメンバーだった。「六本木純情派」の曲調と前衛舞踏がすぐに結びつかず、見ている視聴者は混乱した。狐につままれた気持ちとはこのことだろう。

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そしていまでも語り草なのが、山本譲二のふんどし姿での熱唱である。

山本の「みちのくひとり旅」は、演歌らしくロングヒット。24週もベストテン入りしていた。さまざまな演出をやり尽くしたこともあったのだろう。そこで出てきたアイデアが、ふんどし姿だった。本人も最初は断ったそうだが、熱心に口説かれて承諾した。

「お前が俺には 最後の女」というフレーズが繰り返される歌なので、“男”を強調するのはわからなくもないが、それでもふんどし姿で歌うというのは発想が突き抜けている。本番は、床一面にスモークが焚かれたなかふんどし一丁で歌い上げる山本譲二のバックで同じふんどし姿の男性たち6人が盛り立てるという、これでもかといった感じの演出だった。

だから「ザ・ベストテン」は伝説の番組になった

ほかにも前回書いたとんねるずの「タカさんぶち切れ事件」など伝説的出来事はまだまだあるのだが、このあたりでやめておこう。

こんな破天荒な番組がちゃんと成立したのは、黒柳徹子と久米宏という初代名MCコンビの力も大きかった。「ランキングに嘘をつかない」ことを条件に出演したという黒柳は、近藤真彦に「お母さん」と慕われるなど歌手に親身に寄り添った。久米はトークの達人である黒柳に一歩も引かず渡り合い、また時に山口百恵にデレデレになるなどしながら名人芸で番組を仕切った。