同郷会や総商会はもともと、同じ故郷を持つ中国人の互助組織で、日本でいえば「〇〇県人会」や「〇〇県在外商工会」に近い。ただ、中国では2010年ごろから在外華人の同郷会・総商会の政治的な取り込みが進み、会の側も商売がやりやすいからと大使館に接近する傾向が強まった。
そして、同郷会のなかには中国政府のインテリジェンス工作に加担する例もある。
たとえば、昨年に中国の地方公安組織が相手国に無断で在外出先機関を設置していたことで国際ニュースなった「海外派出所」問題でも、ニューヨークの拠点は美国長楽公会、都内の秋葉原の拠点は日本福州十邑社団聯合総会と、それぞれ福建省の同郷会が元締め。また中国駐日大使館員が海外派出所の設立式典に参加していた西日本某所の拠点は、江蘇省の日本南通同郷会が元締め……と、いずれも同郷会組織が関与していた(こちらの記事も参照)。
対日工作協力組織、大量にブース出展!
ならば、チャイナフェスティバル2024年にはこの手の諜報協力系の同郷会はいないのか……? 探してみたところ、ばっちりいた! 日本福建経済文化促進会(以下「福経促」)だ。
こちらは、習近平政権下で中国共産党が京都の黄檗宗万福寺をターゲットに進めている対外統一戦線戦線工作(海外の協力者獲得工作)で活躍している団体だ。福経促のホームページからは、2016年9月1日に同会会長が党福清市委員会の統一戦線工作部長・陳存楓を連れて同寺に訪問したことが確認できる(こちらの記事も参照)。
また、福経促のイベントには福清市の統戦部関係者がしばしば出席している。2016年6月12日には当時の党中央統戦部副部長が接見した在日華僑訪中団のメンバーにも同会の会長が加わっていた。そもそも、「〇〇促進会」という会名は統戦部と関係が深い在外華人団体がしばしば名乗る名称だ。福経促はばりばりの統戦系のインテリジェンス担当組織と考えていい。