華やかなステージで歌って踊るアイドルは尊い。しかし、ある日「がん」だと分かり「ダンスができなくなるかもしれない」と告げられた心境はいかなるものか。

 都内のステージを中心に活躍するアイドルグループ・ゆるっと革命団の菅原ひなさん(24)は、22歳の当時、病院で希少がんの一種「滑膜肉腫」を宣告された。左足の筋肉を20センチ以上も切除し、抗がん剤の副作用にも苦しんだ、孤独な闘病生活の記憶とは。克明に振り返ってもらった。(全2回の1回目/2回目に続く)

ゆるっと革命団・菅原ひなさん ©杉山秀樹/文藝春秋

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2年前に希少ガンが見つかり、現在も薬を飲んでいる

――2022年9月。22歳の当時、X(旧Twitter)で『「滑膜肉腫」という希少ガンが脚に見つかり、しばらくの間活動休止させていただきます』と報告していました。2年以上が経過した24歳の現在、身体の状況はいかがでしょう?

菅原ひなさん(以下、菅原) 手術によって、左足に大きな血管が1本通っているだけの状態になってしまったので、壊死を避けるために血液がサラサラになる薬を継続的に飲んでいます。力を入れて踏み込めるんですけど、膝を曲げたり、スキップしたり、走ったりはできなくて。体調が不安定な日は、よく転びます(苦笑)。

――9月中旬には「10m歩いただけで疲れる軟弱アイドルになってしまった」とも、Xで明かしていました。

菅原 あのポストは、単純に風邪をひいてしまったからです(笑)。でも、抗がん剤の治療で体内にあるいい細胞まで失われてしまったので、アレルギー反応がひどくなったんです。詳しく検査していないんですけど、花粉症やハウスダストに弱くなってしまった感覚はあります。

都内のステージを中心に、現在もアイドルとして活躍している(筆者撮影)

抗がん剤を投与する前に自分で髪の毛を剃った

――治療の過程では髪の毛を失ったそうですね。

菅原 抗がん剤を投与する2日くらい前に、「どうせ抜けちゃうんだったら、剃って抜け毛を少なくした方がいいや」と思って自分で髪の毛を全剃りしました。髪には人一倍気を遣っていたから、剃った直後はショックで泣きましたけど、翌日には「ボディソープだけで頭を洗えるなんて楽じゃん!」と思いましたね。