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同期はどんどん出世していく…

――同期が昇進していく中で悔しさはあったのでは。

もちろんです。私より仕事も勉強もできんやつがどんどん昇進し、給料も上がっていく、それは忸怩たるものがありましたね。世間は階級で評価するし、今でもそうですから。でも、退職まで裏金づくりという不正にいっさい手を染めなかったことは、よかったと思っています。裏金で購入された弁当にも手をつけませんでしたからね。

――警察の裏金は、誰にどのくらい配分されるのでしょうか。

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私が現職当時の話になりますが、愛媛県で一番大きな松山東署の裏金は年間約2000万円以上でした。署員は300人近くおるんですが、まず、署長が1000万円以上をとり、副署長は300万円以上、課長の中では刑事課長が一番多く配分されます。最低でも毎月20万円ほどです。一番安いのが地域課長で5万円ほどでした。だから、地域課長のポストは一番人気がありませんでした。

――裏金の使い道は何だったのでしょうか。

全部自分の懐に入れて飲み食いしてもいいし、署員の慰労会に使ってもいい。愛人なんかがいる場合は、そっちに全部使う人もいましたね。部下のために裏金を使わない署長・課長は、「ケチ」と言われて部下からの評価が悪かったですね。

裏金の使い道

――裏金がないとそんなに困るんですか。

署長から刑事部長になった同期が、かつて私にこう言ったことがあります。「仙波、わしは署長になったけど、駐在所のほうが手当が多いぞ」と。

つまり、裏金がないと管理職はやっていけないというんです。公務員は今、祝祭日勤務で3万円の手当が出ます。そのほかに、夜勤手当や危険手当、残業手当も完全ではないけれど出る。そうすると、多い月だと手当が15万円超えるんです。

一方、管理職手当は7万円ですから半分しかない。私がその同期に、「自分の手取りが少ないけん、裏金を懐に入れとるんか?」と言ってやったら、「仙波、分かってくれや……」って。