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この課長、本当は辛い気持ちでおるんだろうということは分かっとるわけですよ。それで、「あなたには迷惑でしょうから、僕は希望しません」と言って、書類の「勲章を希望しない」に丸つけて出したんです。課長は「ありがとうございました」と言ってました。

――2004年、北海道警OBが同様の告発をして警察の裏金問題が再び注目を集めました。裏金は今も続いているのでしょうか。

減っているとは思いますが、今も当然、あります。たとえば、生安部員なら生安部員だけ、刑事課なら刑事課員だけ、警備公安は警備公安課員だけに領収書を書かせています。

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私服警察官に捜査諸雑費として毎月3000円を支給するようになりましたが、それまでの違法な捜査協力費のネコババを隠すためのまやかしみたいなものですね。それすら後でしっかり回収している警察署もあります。

なぜ警察の不祥事はなくならないのか

――最近、警察官が逮捕されたという報道が相次いでいます。なぜ不祥事はなくならないのでしょうか。

もう、それはたった一言、上(幹部)が腐っているからです。

警察の犯罪は実際にはもっと起こっていますが、もみ消されているものが山ほどあります。実際に女性警察官が飲み会の席で同僚警察官にレイプされた件では、本人から相談を受けたこともありました。

そこで、主席監察官室において、直接主席監察官に申告しましたがもみ消され、結局、被害女性が退職に追い込まれました。職場不倫の場合も、最終的には女性側が左遷される。そういう男社会です。組織の理論が優先されるわけです。

僕は監察事案として事件化してほしかったんですけど、できなかった。本当に、なぜここまで腐るのかなというのが42年間警察にいて痛感したことです。せめて警察官として最後の一線ぐらいは守れよと思います。これは永遠の課題です。

もちろん、まじめな警察官は大勢いて、仕事のできる人は一生懸命仕事をしています。僕らも地元の人たちから慕われ、いまだにいろいろと連絡してくれる人がいたりするので生きがいもありますけど、警察という組織は、いくら正義感があってもそれが通らないことがあるんです。