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――裏金を告発して周囲の反応はどうでしたか。

それはもう、どれだけ村八分にされたか。皆さんの想像がつかないほどです。2005年に裏金問題を実名で告発し、記者会見をしたことはお話しましたが、その1時間後、私は拳銃を取られました。その理由は、拳銃を所持させることができないほどの不良警官だということを、世間に知らしめるためだと思います。

警友会からの入会拒否

さらに会見後、実質2日で左遷されました。急遽(きゅうきょ)新設された「地域課通信指令室企画主任」というまったく仕事のないポストで、朝8時半から夕方5時15分まで、ただ椅子に座るだけ。たった一人の人事異動でした。それからの500日間は、誰とも話せず、誰一人あいさつもしません。僕は廊下の真ん中を歩くんですけど、廊下ですれ違ったら全員が壁に貼りついてましたよ、顔を合わせたくないから。

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――私は、仙波さんが警察を退職される日のドキュメント番組を拝見したことがあります。仙波さんを応援する市民の方々から花束を受け取っていましたね。

あのときは嬉しかったですね。でも、警察組織からのいじめや嫌がらせはその後も続きました。警察官は退職後、皆、「警察友の会(警友会)」というOB会に入るんですが、松山南署支部の会長からは、「あなたは警友会に入れません」と手紙がきました。

――OBなのに入会拒否ですか。

もうひとつ、再就職の希望を出していたのに、私一人だけ斡旋がありませんでした。それで厚生課長に直接「課長、退職まであと2週間しかないのに、俺だけ再就職の話がないのは、いじめか?」と聞いたんです。そしたら課長は震えながら「いいえ、ちょっと忘れておりました」と。厚生課長は一般職員の最高ポストなんですが、会計課で一生懸命裏金を作ってきたような人がもらえるポストだったので、私のことが怖かったんでしょうね。厚生課の人たちはみんな僕と目を合わせないように、下向いたりしてね。