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再就職先からは採用拒否

――その後、再就職先の紹介はされたのですか。

次の日に「ここがありますから、どうぞ」と厚生課から連絡がありました。再就職先としては一番給料が安いのですが、警察の委託者がおこなっている車庫証明係でした。試験を受けてくれと言うので有給休暇を取って行ったら、出された試験問題は「300円のモノを買いました、消費税いくらでしょう?」みたいな稚拙な内容で、思わず「これ冗談?」とあきれました。もちろん満点でした。

――すぐに採用されたわけですね。

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いえいえ、1週間後に「就職先にポストがないので採用できない」と断られたんです。最初から採用する気もないのに試験を受けさせて、挙句の果てに「ポストがない」と言うわけです。あまりに酷いので「弁護団がいるので損害賠償請求するから」と言ったら、「どうか、こらえてください」と泣くように言われましたよ。

僕が退職した15年前、愛媛県警の定年退職者は約100人でした。そのうち約70人が再就職を希望していましたが、再就職先がなかったのは私一人だけでした。

――どのような再就職先があるのでしょうか。ランクのようなものはあるのでしょうか。

今は伊予銀行の監査役がトップですが、当時の愛媛県警としては、年収約1500万円の松山市役所・公営企業局長が最上級の天下り先でした。2番目が松山市の消防局長で約1200万円。その他、銀行顧問が約800万円、警備保障会社社長で600~700万円ほど、自動車学校長で約500万円ですね。車庫証明係は月収約16万円で、一番下が交番相談員でした。

勲章をもらえる資格もない

――相当な差があるのですね。

もちろんです。上司に従順であること、最終ポストで天下り先のランクが決まりますね。

警察OBは国から勲章を授与されることがあるのですが、私には資格がないと言われましたね。厚生課長に書類を持って行ったときのことです。「課長、私は勲章授与の資格はないでしょう」「勲章授与するのは、裏金に関与した人しかもらえんでしょう? 私、裏金に一切協力しとらんし、おまけにそれを暴いてみんなから嫌われとんじゃ、勲章の資格ないでしょう?」って言うたら、また震えながら、「そうですね」と言ってましたね。