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 どれだけ休もうが、どれだけ保健室にいようが、単位さえ足りてればOKみたいな感じで、みんなもそれなりに単位を数えてサボったりしてたので。全日制だと授業に出られなくなったりすると、サボりみたいに見られちゃいますけど、単位制だと単位が取れてればいいってのが前提にあるので、生活しやすかったですね。

――「高校に進んで、症状が少しマシに」なったのは、なにか治療的なことをしたから?

へち 高2からマウスピースの治療をアメリカで受けて。それが私には劇的に効いて。マウスピースを着けてる間は、症状がまったく出ないんですよ。だから、授業中だけパクッと咥えて、授業が終わる頃にこっそり外して、とかやって。

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へちさんが使用していたマウスピース(写真=本人提供)

――マウスピースで止まった。

へち アメリカで治療をやってくれた先生というのが、歯科治療でトゥレットの治療をしている方で。私が着けていたマウスピースは、チックを抑えるために作られたものなんです。

 チックの発症原因はいろんな説があるんですけど、その先生が言うには、脳の炎症が原因だと。顎関節が狭いと脳に炎症が起きて、それがチックを引き起こしているそうなんですね。だから、マウスピースを入れると狭かった顎関節が広くなって、脳の炎症が緩和されて、チックの症状が出なくなるという理論で。

高校生時代のへちさん(写真=本人提供)

「チック症の美少女」と拡散されてしまったワケ

――実際、止まったわけですよね。

へち 私には効きました。これも先生いわくなんですけど、チック症の人は普通の人より酸素を吸える量が少なくなっているそうで。で、マウスピースを入れたら、すっごく呼吸がしやすくて「呼吸って、こういう感じだったの?!」って。ほんと、そのマウスピースをつけてる間は呼吸が楽だし、体力もすごく長持ちするようになって「みんな、こんな楽に生きてるんだ!」って、すごいビックリした記憶がありました。

 

――呼吸は顎関節と関係が。

へち それも先生いわくですけど、顎関節が狭くなっちゃって、呼吸の通り道が少なくなって、息がしづらいと。実際、マウスピースの治療をして、息がしやすくなったというチック症の方は多いです。

――アメリカで受けた治療の効果は、あまりに劇的だったと。

へち でも、後に思わぬことも起きちゃって。私がマウスピースを試しているところを撮った動画が「チック症の美少女」「謎のチック症少女」みたいなロリっぽい扱いで、どんどん拡散されてしまったんですよ。

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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