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付き合ってた人に「チックって遺伝するの?」と聞かれて…

――某ユーチューバーとのコラボ動画で、恋愛事情の話題が出ていましたが、恋愛面でもトゥレット症候群であることを気にしますか。

へち 相手からどう思われるのか、めちゃめちゃ気にしますね。私が好きになって、病気が理由でフラれたら、ほんとに傷ついちゃうので。

 昔、付き合ってた人に「チックって遺伝するの?」って聞かれたことがあって。遺伝子に不合格のハンコを押された気持ちになっちゃって、すごいショックだったし、一瞬で冷めました(笑)。

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――トゥレット症候群は、パッと見でそうだとわからないうえに理解されにくいところもありそうですね。こうしてお話をうかがっていますが、へちさんがトゥレットだとはわからないです。

へち いま、出てないですよね。そう、初めて会う人の前や馴染みのない場所では出ないんですよ。それで「全然、チック出てないじゃん」とか言われるんですけど、けっこう凹むんですよね。そんな深い意味はないんだろうけど、「そういうことじゃないんだよな」って。

メディアでは重症な人が取り上げられるが…

――トゥレット症候群に限らず、障害や病気の見られ方、捉えられ方に問題がありそうですね。

へち メディアで取り上げられるのって、重症な人が多いんですよ。おそらく、そのほうが映えるから。で、それがチック症だ、みたいな印象になっちゃう。でも、私みたいなタイプのほうが多いんです、ずっと出ている人よりも慣れた環境とか家では出るみたいな。そういう誤差や誤解が生まれるんですよね。

――他者から、どう接してもらうのが理想ですか。

へち なにも気にせず、普通に接してくれれば。それでも、初対面の方の前でチックが出て「えっ、どうしたん?」って驚かれたりすると、ちょっとズキンと来ちゃうんですけど(笑)。来ちゃうんですけど、そこで説明していくのも大事なことだなと思っているので。自分が心を強く持って、説明していくのが一番いいかなと。

 そうすることで、認知が拡大されるし。認知の拡大がないと、見守る優しさみたいなのも生まれないと思うので。

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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