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「よかったです」
「何がよかったですか」
「うちは結婚祝いの商品を扱っているわけですが、贈った相手が本当に喜んでくれたというレビューがついたんです。僕はそのレビューを読んで、自分たちの事業が人に喜ばれているんだと思って、それで、なんとか気持ちを支えているんです」

言いながら、なぜか涙が止まらなくなった。

保証協会の職員も涙声になった。

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「こんなに真摯に事業と向き合っている社長さんに、久しぶりにお会いしました。お申し込みの300万円、満額の保証ができるよう頑張ります」

感極まる男2人の様子を見ながら妻はガッツポーズ

男ふたりがテーブルをはさんで泣いている様子を、宮本は3階で聞いていた。

「なんかドラマみたいやなーと思いながら、瀬川は本当に一所懸命やっていたので、よっしゃーこれで300万円やで! って思いました(笑)」

1週間後、信用保証協会から電話がかかってきた。

「がんばって、満額通しました」

瀬川は、「人を笑顔にする仕事をしたい」という自分の思いが本物だったからこそ、保証協会の職員の心を動かすことができたのだと、いささか自画自賛気味の分析をするのだが、瀬川の思いが本物だったのは、「IT業界は成果を出してもみんなしんどい」のが真実だったからだろう。

借り入れた300万円を元手に広告を打つとてきめんに効果が現れて、ハモンズの事業はあっけなく黒字化した。2人は安堵の胸をなでおろしたが、この資金難はまだまだ地獄の一丁目に過ぎなかった。

事業黒字化で業容拡大へ

ハモンズの黒字化を受けて、瀬川と宮本は業容の拡大に乗り出すことにした。同じくECでベビー服を扱うことにしたのである。理由は、2人に長女が生まれたことにある。

「子どもを抱えてベビー服を買いに行くのって、大変ですよね。しかも、せっかくかわいい服が見つかっても、サイズがなかったらまた買いに行かなくてはなりません。でも、このサイトに来れば必ずかわいいベビー服が見つかって、サイズ切れもなく、自宅に配送してくれるとなれば、今度は新婚家庭じゃなくて、赤ちゃんが生まれた家庭を笑顔にできるじゃありませんか」(瀬川)