火葬業務を担当していた男性が失踪した経緯
この男性は34歳で、当初からAと働いていた。もうひとり職員がいたが、その人はすでに退職している。
平成7年1月12日、ゴルフの練習場にいったきり男性は姿を消した。練習場にはゴルフクラブが置かれたまま。駐車場にも乗ってきた車が置いてあり、免許証すら車内にあった。まるでゴルフ練習中にそのままどこかへ手ぶらで走り去っていったようだ。
さらに男性の失踪に家族が気づいたときには、Aは「お金がなくなれば帰ってくる。捜索願を出すのは待ってくれ」などと話したという。
結局、家族は9日後に家出人捜索願を伊勢崎署に提出したが、Aはなるべく警察に知られないようにしていたのだ。
また、男性が出勤してこないので社長がAに男性はどうしたか尋ねたときには「風邪をひいて休んでいる」とごまかした。1週間ほど経って、ようやく行方がわからなくなったと話したのだという。
ここでも男性がいなくなったことを隠蔽しようとした可能性がある。
失踪から3か月ほど経ってわかった男性の居場所
極めつけはこの男性、Aから嫌がらせを受けていたということがわかっている。周囲の人によれば、前年の夏頃から顔色が悪くなっていたらしい。もしかしたら社長と同じで、火葬炉に閉じ込められたりといった嫌がらせを受けていたのかもしれない、と話す人もいるという。
また、会長が新社長就任を阻もうとストライキを画策していた折、この男性はAに指示されて、社長の乗用車のタイヤのナットを外させられていた。つまり当初から悪事の共犯にされていたのである。
失踪から3か月ほど経った春頃、男性から妻と母にそれぞれ手紙が届いた。消印はそれぞれ兵庫県と京都府。「仕事についた。子供たちを頼む」といった内容だったが、その後に連絡はないという。
その後、この男性が帰ってきたという続報は見ていないが、無事に家族のもとへ戻ってきたことを祈るばかりだ。