作詞・作曲のほか編曲やトラックメイクも一人でこなし、舞台音楽でもその才能を発揮するなど今最も注目を集めるミュージシャンの4s4ki(アサキ)。海外からも注目される彼女が子供のころから感じていた“生きづらさ”、そしてADHDと診断されて感じたよかったことは……。(全4回の3回目/♯1、♯2、♯4を読む)
◆◆◆
服薬のクリエイティブへの影響に不安もあったけれど…
――初めてADHDと診断されたときは、どう感じましたか?
4s4ki もちろん最初に聞かされたときは、ひどく落ち込みました。怖かったし。でも、先生からは、元凶となるADHDをうまく生活の中で対策して、それに適ったお薬を飲むことでほかの精神疾患も自然と良くなっていくケースもあるというお話を聞かされて、それで前向きになれて。私の場合、もし本当に統合失調症だったとしたら、もっと入院が長引いていたそうなんですが、ADHDをきっかけとした症状という診断だったために早期に退院することができて、音楽活動にも早々に復帰できたので。
――ADHDについて処方されたお薬を飲み始めたころ、クリエイティヴへの影響という点で、何らかの不安を感じたことは?
4s4ki 最初はまさにそれが怖くてお薬を積極的に飲めなかったんです。曲を書けなくなっちゃうんじゃないか? と怖かったんです。でも、飲み始めてみたら、自分の発想力は消えなかったし、むしろ、「この衝動だったら人前で出してもいい」とか「この衝動は人前ではダメなやつ」と、自分の意思である程度コントロールができるようになってきたんです。
それを契機に、服用する薬も劇的に種類が減りました。現在、毎日必ず飲んでいるのはADHDのお薬1種類と頓服くらいで。大きなパニックがほとんど起きなくなったし、回復も少し早くなりました。
同じように、苦手なことも苦手なんだとより明確に自覚できるようになりました。これは苦手だから、それをどうなるべく周囲の人に迷惑をかけずに済むレベルで何とかするか、みたいな工夫を考えるようになったし。自分の疾患に合ったお薬を飲み始めたことで、自分のメンタルを認識できるようになったのは大きな変化でしたね。