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「最初はすごく『悪い女』『汚い女』をイメージしていました。ものを盗むし、服も汚いし、菜箸で人を指すし(笑)。それが、現場で家族と過ごすうちに、『信代さんはこういう人だからこう演じよう』という考えが消えていきました。是枝組は、セットの外も中も、カチンコの鳴る前も後も、流れる空気が変わらないので、子どもたちと一緒に素直に呼吸していられる。家族としての時間を過ごすことで関係性が構築されていきます。監督はそれに寄り添うように、毎日脚本を足し引きしていくんです。だから、事前に考えて準備するのではなく、台本と自分の体だけあればいい、おおらかな気持ちで現場にいたい、と思っていました」