――他にも制度について、不満に思ったことなどはおありですか。
【N】被告人が控訴した場合、高裁の判断が気になって傍聴に行く裁判員も多いと思います。一審で裁判員をつとめた人が優先的に傍聴できるようにするシステムがほしいですね。
――経験者団体にアクセスされたのはいつごろでしょうか。
【N】自分の経験を話せる場がないかと思い、ネットで検索して裁判員経験者ネットワークという経験者団体の存在を見つけ、連絡をとりました。そこではじめて自分の経験を語ることのできる場所があると知り、同じような経験者にも会うことができました。裁判が終わって半年後のことでしたが、とてもうれしかったです。同じような裁判員体験をしている経験者の前で関心を持って聞いてもらえて、弁護士や臨床心理士の方からも疑問点について教えてもらい、安心してそれまでの思いの丈を話せたので、帰りのエレベーターの中でうれしくて涙が出たのを覚えています。
このように裁判員制度の意義や課題について真面目に取り組み、経験者の交流の場を設定している団体があることに驚きましたが、裁判所も裁判員の参加を推進したいのなら、このような民間交流団体のことを本気で社会に知らせる努力をするべきだとつくづく思いました。とくに裁判終了後には、経験者団体の存在を裁判員に伝えるようにしてほしいと思っています。
――裁判員を経験したことで、何か変化はありましたか。
【N】裁判員裁判が報道されると、その裁判員の方たちの心情を考えるようになりました。どんな裁判でも素人が関わるというのは大変なことです。ましてや裁判員裁判になる事件は世間的にも注目が集まることが多いと思います。そこに向き合っている方々の気持ちはどう、と考えるようになりました。
――もし、もう一度裁判員に選任されるとしたら、引き受けたいと考えますか。
【N】短い期間であればぜひ。
――次に裁判員になる人にメッセージをお願いします。